距離〜佐山から見た視点 2〜-4
……。
楽しい時間なんてあっという間。
それから30分位教えてもらって
「さすがにそろそろヤバイわ。戻るな。続きはウェブで」
なんてこと言って、剛くんは千華ちゃんの元へ戻った。
私は、一人屋上に取り残された。
ダメだ…。
なんかもう、分かんない。
自分がどうしたいのか。
剛くんが何を考えてるのか。
剛くんには彼女がいる。
なのにあんなこと言われたら…期待しちゃうじゃん。
あの馬鹿…。
期待なんかしたら、また前みたいになるよ…。
「おーぃ幸ーっ。やっぱりここにいましたかぁ」
美沙だ。
「図書室行ったらいないしさー、電話したのに出ないしさー、もぅ。探しましたぞー」
「電話…?あ、ほんとだ。着信来てる。ほんっっとごめんね!」
「ん、ジュースで許したげるー」
そう言うと、美沙はタバコを取り出し、火を着けた。
美沙はおっとりとした喋り方と性格で一見抜けてそうだけど、部活の他に生徒会にも参加してるしっかり者。
勉強もすごい頑張ってる。
でも、こういう一面もある。
殆どの人は知らない、美沙の裏側。
「で、楽しかったかー?」
「え?」
「剛くんとのダンス講座なりよ」
「あ、え?見てたの?」
「まぁ実はさっきも一回屋上来たんだけどさー、お二方の楽しげな声が聞こえたもんで、お邪魔虫は一度退散したんでございますよ」
「…そうだったんだ。ごめんね…」
「別にいいのだー。やっぱり、二人はお似合いだと思うしねー」
「美沙…」