coloraffair〜みんなの気持ち〜13-3
「ありがとう」
僕は一言だけ言って、病院を飛び出した。
ずっと走り続けた。
しかし、体が疲れ切って立ち止まると孤独感が押し寄せてきた。
気付くと僕は涙を流していた。
涙は孤独感と比例して、止まることを知らなかった。
千弥子の話に加え、美衣菜のこんな最期なんて、神様がいるなら頼みたい。もう、苦しめる相手を僕から変えてくれと。
しかし何より、美衣菜に幸せを与えられなかった自分が一番悔しい。
にもかかわらず、美衣菜は健気に僕を愛してくれた。
千弥子の言うように、美衣菜は本気で騙すつもりはなかっただろう。
僕の愛が足りなかったのだろうし、何よりあんな簡単に手放した僕が情けない。
こうして僕と美衣菜の悲しい恋の灯は消えた。
そして、消えたものはそれだけに止まらなかった。
「よ、久々だな」
夏休みが終わり、2学期が始まった。
「あぁ」
「なんだよ、クロ!妙に冷たくないか?」
「そうか?いつもこんなもんだよ」
「まぁ………美衣菜のことは残念だったけどよ」
「別に関係ねぇよ、それは!」
僕は話すのが嫌で教室を出た。
「なんだよ…………」
たしかに、アカが言う通り美衣菜の死から何もかもやる気が出ない。だが、何も知らないカラークラブのみんなには心配をかけたくないから学校では普通に振る舞おうとした。
しかし、どうやら表に出てしまったらしい。
「で、活動はいつからやるんですか?夏休みはあれっきりだったみたいですし」
「おぉ、ムラサキ!」
「クロはいつまで落ち込んでるんですかね?」
「別に落ち込んでねぇってさ」
「話はなんとなくわかりますよ。元カノさんと何があったんですか?」
「おまえ、よくそこまでわかったな!」
「察しはつきます」
「そっか………。だが、知らない方がいいぜ?クロのためにも」
「クラブ内でも隠し事ですか?」
「……………」
アカは黙ってしまった。