coloraffair〜みんなの気持ち〜13-2
「今の話本当か………?」
「えぇ………。あたしも止められなくてごめんね………」
「いや………千弥子はいいよ」
僕は過去の自分を責めていた。別れを突然切り出されて何も考えられなくなり苦しみから逃れるために即座に美衣菜を手放した過去の自分を。
花火大会の日に去っていく美衣菜の姿が頭に浮かぶ。
「そんなことより!」
千弥子が大きな声を出した。美衣菜のことを考えていた僕はびくっとした。
「美衣菜に会わないの!?」
ここに来る前は話だけ聞いて帰ろうと思っていた。今は美衣菜とは何の接点もない男なのだ。
しかし………。
「会わせてくれ………!」
もう逃げない。この前決心したばかりだ。
「そ。美衣菜のご両親は休んでるわ。昨日の手術から付き添い続けてたらしいからね。案内するわ」
「ありがとう」
僕たちは急いでエレベーターに乗り、6階まで上がった。美衣菜の病室はエレベーターを降りて正面にあった。名札を見ると1人部屋だった。
「入りなさい」
千弥子に促されドアをノックした。ドアをたたく手が震えていた。
中からは何の音もしなかった。なのでドアを開けた。
そこにはベッドかぽつんとあり、その横には白い花が飾られていた。
「美衣菜…………?」
ベッドの上には人が仰向けで寝ていた。そして、顔に布がかけられていた。
「おい…………!?」
僕はゆっくりとベッドに近づいて行った。
「美衣菜…………!」
呼んでも美衣菜は反応しなかった。
「おい!千弥子!どういうことだ!?」
千弥子は扉のところで立ち尽くしていた。
「本当のこと言ったら会ってあげないんじゃないかと思ってね………。ごめんなさい」
そう言った美衣菜の頬には一筋の涙が流れていた。
「嘘だろ………?だって昨日は生きてたって!」
「えぇ、昨日はね。」
「そっか………わかった」
僕はこの場から離れたくて部屋を出ようとした。
「待ってよ!顔見せてあげなよ!」
「なんでおまえに言われなきゃいけないんだ!いいんだよ、もう」
「あっそ!じゃ、せめて美衣菜の最期、見なさいよ!」
そう言うと千弥子は美衣菜の顔にかかっていた布をとった。
この位置からだと美衣菜の横顔しか見れなかった。
でも、その顔はこの世のものとは思えないほど綺麗だった。
この世のものとは思えないほど…………。