黒魔術師の恋愛事情〜始まり-2
真彦が思い出したとわかると、麻里はほっとした様子だった。
「あの時の黒須君がかっこよくてその…付き合ってほしいなぁって…」
「付き合うって?何で?」
恋愛感情に鈍い男、黒須真彦の発言である。
「え?…好きになっちゃったから…そんな理由じゃだめですか?」
真彦は自分の顔が急に真っ赤になっていくのがはっきりとわかった。今まで女の子からそんなことを言われた覚えはないからだ。
「偶然あの人達がお腹を押さえてうずくまっていたけど、多分黒須君が来なかったら私、逃げれなかったもん…。黒須君のお陰で私は助かったの。だから…一目惚れしちゃったのかな?」
偶然というか、あの腹痛は真彦が起こしたものだが、真彦自身、そのことを忘れていた。
「お、俺と付き合ってもい、いいこと無いと思うよ?むしろ、や、やなことばっかかもしれないし、それに…」
恋心に鈍いほど、ストレートに言われると脆いもの。真彦は口が廻らなくなっていた。
「それでもいいの…黒須君。私と付き合って下さい」
「…はい」
緊張のあまり真彦はOKをしてしまった。
「やった〜!黒須君大好き〜!」
麻里は嬉しくて真彦に抱き付いた。その真彦は恥ずかしさのあまり体がずっと硬直しっぱなしだったという。
その友人が心配の余り、様子を陰から見守っていた人物が一人いた。
「あーあ、ついに付き合うことになっちまったみたいだな。あの黒魔術オタクは」
藍羽光輝はその場から離れながら呟いた。
「今まで目立たないようにしてたくせに、これじゃあ嫌でも目立っちまうな…。ま、いっか」
親友の恋路を見守っていこうかなと考え始めた光輝だった。
END