『群青の街・第一話殺し屋ハルと少女リリア』-6
ーーーー死んでいる。
そう、判断するしかなかった。
なぜ、どうして、母様は。
一体何がどうなっているのか。
叫んでしまいたい。
声が出ない。
誰か、誰かを呼ばなくちゃ。
自分では、どうしようもない。
それより母様は。
ほかのみんなは。
足がすくむ。動けない。
唇が震える。
目が離せない。父の無残な姿から。
しかし突然、視界が遮られた。
赤い世界が、黒い世界へと一転した。
静かに、顔を上げた。
綺麗な、ひとだった。
少年?
でもまるで、女の子みたいに、綺麗な顔をしていた。
「………………だれ?」
それしか、言えなかった。
「………君、この家の子?」
逆に、そう聞かれた。
小さく、頷いた。
「……オレと一緒に、来る?」
そう言って少年は、手を差し伸べた。
「オレが君を、守ってあげるよ。」
そう綺麗な顔で、微笑んで。