coloraffair〜みんなの気持ち〜12-1
―えっ…………!?―
僕は、シロに気持ちを伝えるためにこけに来たのだ。しかし、向こうから手を振ってやってくるのは美衣菜だった。
―………なんでだ!?―
「偶然ね?、真夏も行くの?花火大会に」
そう、僕はシロを花火大会に誘っていたのだ。気持ちを伝えたかったのだが、二人きりで気まずくなるのを避けるため、花火大会に逃げたというわけだ。
「ひょっとして……誰か待ってた」
「あ、あぁ、まぁそんなと」
「クロ…………!」
―いやいやいやいや………―
最悪のタイミングでシロが来てしまった。振り向くと、浴衣姿のシロが恥ずかしそうにして立っていた。その姿に心臓が早まった。
―かわいい………!―
「だぁれ、この子?それにクロって?」
「あ、いや!なんでもないんだ!この子はクラスメイトの米沢寿里亜。で、こいつが同じ中学校だった大島美衣菜だ」
「元カノとは紹介してくれないんだね」
「いや、まぁ、昔な!」
「あ………そういった関係なんですか………」
シロの顔が少しだけ曇った気がした。それとは逆に美衣菜の顔が明るくなったのには気が付かなかった。 「なぁに?ひょっとして二人で花火大会行くってこと?」
「あ、あぁ。そうだよ。な?」
「は、はい………!」
「じゃあたしもついて行っちゃおうかな?」
「はぁ???!?」
「そんな驚かなくたっていいじゃない!それにただ現地に一緒に向かうだけよ」―なんか、美衣菜積極的だな………―
「じゃ、しゅっぱ?つ!」
そういうわけで僕は女の子二人と一緒に花火大会の会場に向かっている。今までの僕ならば願ってもない状況だったと思うが、今は気まずくて仕方がない。 実際二人とも何も話そうとせず、僕が話を振ってもすぐ会話は途切れてしまう。だから、早く目的地に着くよう心から祈っていた。
「もしもし?」
美衣菜がいきなり声を出したので、飛び上がってしまった。電話がかかってきたようだ。
「あら、千弥子、どうしたの?」
―一緒に行く相手って千弥子か………?さっさと来やがれ!―
「え?っ!?本当!?まぁ仕方ないけど………。わかった、じゃぁね。…………ふぅ」
「おい、そのリアクションはまさか………!?」
「千弥子来れないんだって………。だからさ………」―予想的中か!?―
「向こうでも一緒にいてくれない?」
―やっぱり…………―
「いや、まぁ、いいけどさ………」
「あたしはいいよ、クロ?」
―そういう問題じゃないんだよな?………―
「米沢さんもこう言ってるわけだし、行こ!」
結局、三人で会場に到着した。そして、これからもこの気まずい三人で行動しなければならないのだ。
「真夏?!あっちにいい場所あるよ?!」
「ん?あ、おう!」
美衣菜に呼ばれて、僕はそちらへ走っていった。するとシロが立ち止まっていることに気がついた。
「おい、シロ、どうした?」
「…………」
シロは無言でうつむいたままだ。
「体調でも悪いのか!?」「クロは………」
「……………?」
美衣菜も異変に気付き僕たち二人の方へとやってきた。