秘密の四角関係(7)-5
二人はベッドに倒れ込んでいた。
こうやって悠也と寝るのは何ヵ月ぶりだろう……落ち着いた頭の片隅で、早紀はそんなことを考えていた。
「ごめん……」
不意に悠也が呟いた。
まるで、何かをしでかしてしまった少年のように。
「……何がですか?」
早紀は寝転んだまま、体ごと彼の方へ向き直る。
悠也はただ上を向いたまま、暗い天井を見つめていた。
「八つ当たり……っていうのかな」
「いいですよ」
クスッと笑った早紀は、仰向けの彼に寄り添う。
「私が、ご主人様の感情をぜーんぶ受け止めますから」
悠也の体に腕を絡ませ、早紀は自身の体を密着させる。
彼は何も言わなかった。
その暗闇の中に何を見ているのか、もしかしたら、彼自身にも理解できていないのかもしれない。
そして、早紀の言葉がどう響いているのかも、窺い知ることはできなかった。
それでも彼女は悠也の頬に顔を寄せ、そっと目を瞑る。
胸のざわめきを鎮めるかのように……。