憂と聖と過去と未来 6-1
大学入試はあっさりと終わった。
今まで憂とずっと一緒だったクリスマスや正月も、すべて佐山に時間を奪われたが、その合間を見つけてもうやけくそで勉強した。
落ちるわけにはいかない。
憂も俺と同じ大学を受けたんだ。
佐山は何も言ってこないので、どうやらまだ知らないらしい。
当然いつかは知られるだろうが、遅いに越したことはない。
相変わらず佐山と過ごす時間は減らないが、毎日の生活は安定していた。
今までの騒動、佐山に振り回される生活がなかったことのようにさえ感じるほど平穏な日々。
なんとなくだが、すべてがうまくいっているような気がした。
「明日はバレンタインデーだからね」
「…」
佐山がそう言うまで何も考えていなかった。
今まで毎年もらっていた憂からはもうもらえない。
「もちろんわかってるよね。柊さんと接触したらだめだってこと」
「……わかってる」
平穏ながら、やはり何もかも制限される毎日。
そして憂との関わりを絶たれている今、俺は相変わらず、半年後の未来を思い描くことしかできなかった。