憂と聖と過去と未来 6-11
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気付けば憂と離れたまま、二年が過ぎていた。
憂との関係を修復をすることはもう無理なんじゃないか。
ずっとそう考えていた。
だから行動にも移さなかった。
だけど、今日から。
俺は小さな一歩を踏み出す決心をした。
今日は大学の学園祭。
憂が来ているかはわからない。
でも、きっと憂を見つけ出す。
そして、その手を引っ張ってやる。
あのときのように。
あの悲劇を生んだ寒空の日のように。
「……」
一時間ほど探して、ようやく憂を見つけた。
後ろ姿だったが、あれは紛れもなく憂だ。
さあ、未来への始まりだ。