憂と聖と過去と未来 6-10
***
それからのことは、よく覚えていない。
命に別状はなかったこと。
佐山が捕まったこと。
憂が会いにきてくれたこと。
だが、俺は冷たくあしらった。
今までのことは何も考えたくない。
そのときの俺は精神がボロボロだった。
俺のやってきたことはこれでよかったのだろうか…
何も残らなかった。
憂は離れていってしまった。
憂は自分のせいだとふさぎ込み、会いに行っても会話ひとつなかった。
憂も俺も、自責の念に駆られている。
俺は憂が好きなのに。愛しているのに。
何もかもが狂った。
俺が判断を誤ったんだ。
やっと全てを片付けて…
せっかくこれから憂と同じ大学で…
憂…
俺さ、いろいろなことを考えていたんだ。
二人で行ったことのない所にたくさん行きたい。
二人で暮らしたい。
やっと憂と笑顔で…
毎日が憂鬱になった。