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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 5-5

「篠塚くんはあたしと付き合わなきゃいけないんだよ?」


「……は?」

なにを言ってるんだ、こいつは。
思いがけない言葉につい呆れておかしな声を出してしまった。

「ふふ…篠塚くんは、柊さんの顔を潰さないように、あたしの願いを了承したんだよね?」
「……よくわかってるじゃないか」
こいつの考えが読めない。
たしかに正解だが、なにが言いたい?

「じゃあ…付き合うしかないよ?」
「…なぜ」
「私はいつでも…柊さんを潰せるから」
「……」
わけがわからない。
冷静に考えることもできない。

「全て話すのも面倒だから…簡単に言うけど、私は教師らを手駒にしているから」
「……意味がわからない」
「つまり、私の一言で柊さんの高校生活をめちゃくちゃにできるってこと」
「……」
「彼女は成績もよくないし、学習態度や風紀的にも決して優秀な生徒とはいえない。だから、教師らに一斉に叩かせて進学もめちゃくちゃにできるってこと」

…こいつは何を自慢気に語っているんだ?
いじめっこの小学生じゃないんだぞ。

「…ばからしいな。なぜそんなことができる」
「付き合えばわかるわ」
「……」

ここまで自信満々に言えるのには、やはり理由がある。

だが…なぜ無理に付き合わなくてはいけないのだろうか。

そこまでしなくても、佐山の容姿は悪くない。男なんざいくらでも寄ってきそうだ。
性格は…清楚とは正反対だったが。

「…なぜ俺なんだ」
「…篠塚くんが純粋にかっこいいっていうのもあるけど…ふふ、柊さんが気に入らなくて」
「……」
「クラスでは笑顔を振りまいているけど、心の底から笑ってないのが見え見えだし、自分には篠塚くんがいるからなんて余裕ぶっているからね」
「…お前、子供だな」
俺は怒りを通り越して呆れてしまった。

「…話が逸れたけど、付き合うの?付き合わないの?」
佐山はクスクスと笑っている。
「……っ」


憂の高校生活が…未来が潰される…?

憂は小さな頃から…看護士になりたいから頑張ってるんだ…

なのにこいつは、俺と引き換えに簡単に潰すなどと言ったのか…


どうすればいい…
はったりだと突っぱねるのか、それとも…


憂は…別にいいのか?
俺が他のやつと付き合っても。

俺は嫌だよ。


「……わかった」
「ふふ、よろしくね」
佐山は勝ち誇った笑顔を見せた。


それでも俺は…憂を守る。


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