投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

憂と聖と過去と未来の最初へ 憂と聖と過去と未来 48 憂と聖と過去と未来 50 憂と聖と過去と未来の最後へ

憂と聖と過去と未来 5-4

***

その日の夜、佐山という女子からメールがきた。

『突然すいません、佐山怜といいます。柊さんに紹介してもらいました。』

知ってるよ。

だけど、俺はきみとは付き合えない。

そう返事を打つ手が止まった。

顔も合わせないうちからばっさり切り捨てるのも悪いし、憂のことを考えるとまだ早いかもしれない。

『登録した。よろしく。』

それだけ返して、少し寝ることにした。




翌日もメールがきた。

好きな女性のタイプだとか、好きな料理だとか、質問に答えただけで終わったが。

なんだか収集がつかなくなりそうな気がしたが、質問も面倒なので適当に答えたし、しばらくは我慢することにした。


メールを始めて三日目の昼休み。

突然、佐山からメールがあり、屋上に呼び出された。

よかった…直接断ることができる。

俺は安堵と罪悪感にかられながら、階段を一段ずつ上った。


重い扉を開くが、人はほとんどいなかった。

屋上は昼休みだけ開放されていて人気の昼食スペースとなっているはずだが、どうやら今日は風が強いために閑散としているらしい。

風でボサボサになった髪を戻しながら歩くと、隅の方に女子の姿があった。

どうやら周りに見られたくないらしい。

十中八九、告白だ。

好都合だ。これで断れば終わる。

そう思いながら、後ろを向いている女子に声をかけた。

「……佐山か」
俺がそう言うと、女子はくるりと振り返った。
風でスカートが浮き上がらないように手で抑えている。

「……篠塚くん」

佐山は綺麗な女子だった。

清楚という言葉が一番似合う。

「…こうやって顔を合わせるのは初めてだな…なにか用か?」
「……篠塚くん、私、篠塚くんが好きなの」
随分と直球だな…
「……悪い、佐山とは付き合えない」
当然の答えだった。

これで終わり。
いつもの憂との生活が待っている。


憂と聖と過去と未来の最初へ 憂と聖と過去と未来 48 憂と聖と過去と未来 50 憂と聖と過去と未来の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前