『六月の或る日に。2』-18
「はーるみっ。」
「きゃっ。」
考え事をしていたら、後ろから抱きつかれた。
「あー春美の匂いだ…。落ち着く…。」
「もうすぐご飯出来るから待っててー。」
可愛らしい彼の行動に少し笑ってしまう。
見かけによらず、甘えん坊なんだ。
「……なぁ春美。お前に知らせたいことあるんだ。」
「ん?なに?」
振り向いたら、優しい笑顔で彼はあるハガキを差し出した。
「いい知らせだよ。」
「なに?ーーーーーっ…。」
彼の言葉に頭を傾げながら、ハガキを目にした。
瞬間、涙が溢れた。
ああ、駄目だなあたし。
「あー…、やっぱりムカツくわあいつ。」
そう言って、彼は力強く、あたしを抱き締めた。
嬉しい。愛しい。
あたしは、こんな日を待っていたんだ。
『高田先輩、春美へ。
お久しぶりです。元気ですか?新婚生活はどうですか?
俺もやっと、結婚することになりました!
高田先輩と春美に負けないくらい幸せになってみせるんで!
結婚式、良かったら来てくださいね!
P.S.春美、幸せか?俺は、幸せだよ。』
「最後の追伸があいつ、いやらしいよな。春美だけ特別、みたいなさ。……ったくよー。一生ライバルだわ、あいつ。」
彼ーー高田先輩、もとい高田博之は、そう言いながらも、嬉しそうに笑った。
ーーー夏樹、幸せだよ、あたし。