『六月の或る日に。2』-17
けど。
「俺も!!!」
夏樹は人一倍、いつだってあたしには優しかった。
きっと、これからも変わらないんだ。
そしてやっぱり、あたしはその優しさに、いつだって強さをもらう。
「またな!春美!」
散歩の人が見てる中、夏樹は声を張り上げて手を振った。
「またね、夏樹。」
あたしも笑顔で、手を振った。
さよなら。
いつかまたね。
*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
出迎えると、彼は優しく笑って、あたしに小さなキスをした。
「今日は早かったんだね。」
「あー、NGあんまなくてさ。結構すんなりいったんだ。」
「そっか、あ、ご飯もう少しで出来るよ。」
「あー。」
彼はそう返事をしながら、寝室へ引っ込んだ。
あれから3年。
あたしは今、新婚生活なんてものを送っている。まさかこんなに早く結婚するとは思わなかった。でも、今とても幸せだ。
仕事は相変わらず順調。この間も一つ企画を任されて、今はそれを進めている。
傍ら、『奥さん』もちゃんとやっている。
独身の時には考えられなかったけど、定時には上がって、ちゃんとご飯を作って待つ。
彼の仕事は何時に終わるか予測がつかないから、たまに先に寝ちゃうこともあるけど、それでも大体は今日みたいに一緒に食べることが多い。