『六月の或る日に。2』-16
気がついたら、もう夕日が顔を覗かせている。
1日が、終わりに近づく。
「……夏樹、今までありがとう。」
「…ああ。」
「あたしいっぱい迷惑かけたね。可愛くない彼女で、ごめん。」
「…んなことねーよ。春美は最高にいい女だった。」
「本当に?」
「ああ。こんだけハマったのお前が初めてだし。」
「あたしも、こんだけハマったの夏樹が初めて。」
ぷっ、と二人で吹き出した。
何だか、凄く嬉しくて楽しい気分だった。
「あたしたち友達になれる?」
「親友になれるんじゃね?」
「そっか、嬉しいな。」
「お前とだったら、話尽きないだろ。」
「そうだね。」
さあ、帰ろう。
あたしは立ち上がった。
「彼女と幸せになってね。」
「……ああ。」
「いつか、会わせて。」
「きっとな。」
夏樹は、力強く頷いた。
最後は、笑顔で。
「…大好きだよ、夏樹。…………さよなら。」
返事は、聞かない。いらない。
振り返らない。
ただ、前を向いて歩く。
あの日と違って、ただ一人で、この公園を出る。