『六月の或る日に。2』-15
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終わる時、あたしはどうなるんだろう。
ここ1ヵ月、ずっと考えていた。
寂しくて気が狂うかも。
それとも、泣き崩れるかしら。
結果は、どっちでもない。
なぜか、寂しさも悲しさもなかった。
ただ、受け入れるだけなんだ。その事実を。
「…俺、嫌だったんだ。」
「え?」
「春美が一人で強くなってくのが、さ。俺は、春美がいなきゃだめだったから。春美を幸せにすんのは俺なのに、って。……でもそのせいで自分をがんじがらめにしてた。…結果、春美も。」
「それは違うよ!」
いきなり張り上げた声に、夏樹は顔を上げた。
夏樹、誤解しないでよ。
「夏樹は優しいんだもん。人一倍、いつだってあたしに優しかった。だからあたし、強くなれた。夏樹がいてくれたからだよ。あたしが手放せなかったの、夏樹を。夏樹の傍にいれば、安心できたから。」
「…なんか俺たち、同じトコで悩んでたのかもな。」
それを聞いて夏樹は、ふっと笑った。
「相手を潰したくなくて、自分のせいだと思い込んで。」
夏樹の言葉に、静かに頷いた。
「……ねえ夏樹、もっと早く…、こうやって言えてたら、なんか違ってたのかな?」
ずっと、聞きたかった。
あたしたちに、未来はあった?
「……違ってたかもしれないな。……でも、これが俺たちの結論だろ?」
「…そうだね。」
ない、とは言い切らなかった。
そんな夏樹の気持ちが、有り難かった。
今確実に、二人の気持ちは繋がっている。
だからかな。
最後でも、寂しくないのは。