『六月の或る日に。2』-14
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「答えを、言うね。」
「え?」
「この間、夏樹がくれた問題。」
夏樹は、少し目を泳がせて何かを考えた後、思い出したようだった。
「ああーーー、あれか。」
あたしは頷いた。
『俺のことーーー、ちゃんと…好きだった…?』
「好きだったよ、夏樹。あたし……五年半前も、今も、迷うことなく…、夏樹が好き。」
「………ありがとう。」
夏樹は、泣き笑いみたいな表情だった。
でも、ちゃんと伝わったと思う。
何か、胸のつかえが取れたような、そんな顔をしたから。
ーーーー終わるんだ。
そんな合図が、聞こえたからかもしれない。
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『うっめえ!すげーうまいよ!』
『ちょ、声でかいよ…。恥ずかしいじゃん。』
『いーじゃんか、うまいもんはうまい!』
『もー…、でも、ありがと。』
『…つうか春美と結婚したら、将来安泰だなー。』
『はっ!?』
『ふはっ、そんな驚くなよ。別に冗談だよ。』
『何だ、もう。』
『でも本当にするかも。』
『また冗談?』
『…んー、80%本気!』
『何それ。』
『だって俺は、お前を幸せにしたいから。俺自身でね。』
『………。』
『おい、春美?』
『………。』
『なにそっぽ向いてんだよ。』
『………。』
『……照れてんの?』
『ち、違うっ!』
『ふはっ、どもってんじゃん。』
『??っ、夏樹が変なこと言うからっ…。』
『はいはい、そうですね。………たくかわいーなお前。』