遠恋ーえんれんー泪side2-2
「うぅっ‥重いよ‥‥‥ん?」
何かが額に当たった気がする。
気のせいかな‥
ポツッ
「んんっ?」
やっぱり何か当たった。
ポツッ‥‥ポツッ‥ポツポツポツ
「うー‥まじかよぉ‥」
雨だ。
しかも段々激しくなってきた。
ポツポツどころではなく、ザーザーと降り始めた。
仕方なく傘を買おうとコンビニまで猛ダッシュした。
幸いにも近くにコンビニがあったが、激しい雨は僕をビチョビチョにした。
入口の前にいったん荷物を置き、茶色いワカメみたいになった髪の毛をオールバックにして一本に縛る。メガネも拭き直す。
衣装はなんとか大丈夫みたい。
よくぞ衣装を庇った、僕。よく頑張ったぞ。
自分で自分を褒めながらようやく店内に入る。
「傘かさ?♪傘はどこかなっと‥」
入口の近くにあったので、一本を手にもちレジに向かう。
「いらっしゃいませ。」
「あ、お願いします。」
鞄からお財布を取ろうとした。
‥した。
ん‥?ない‥?
まさか。
いや、確かに朝入れたはず。
ガサゴソと鞄を漁る僕。
「250円でございます。」
「あっ‥はい。ごめんなさい、お財布が見当たらなくて‥」
おかしい。
全然見当たらない。
舞台用のお化粧道具が入ったポーチ、携帯、iPod、ミネラルウォーター、ピアス、メガネケース、タオル、手帳、美音と撮った写真‥