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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈占者篇〉-4

「良かったわね、そういう人に巡り会えて。」

心強かったでしょう、さらに付け足した圭の言葉をカルサは聞き流した。そんな事はどうでもいい。大切な仲間をまた一人失った、あるのはただ1つの事実だけだった。

完全に身体だけとなったナルを見つめ、そっと肩に触れた。身を屈め、ナルに触れた手の上に額をつける。

「ありがとう、ナル。」

何度繰り返しても足りないくらいだった。ありがとう、ありがとう、心の中でずっと繰り返していく。

カルサは顔を上げて後ろを振り返った。

今残る仲間はこれだけ。

時間がない、やらなければいけない事がある。

「これ以上、犠牲者は増やしたくない。」

カルサの言葉に身が引き締まる。心痛が伝わってくるようだった。

何人かが同意するように頷いた。

「ヴィアルアイのもとへ行くぞ。」

緊張感が一気に増す。カルサは立ち上がり祭壇から降りてラファルの所へ歩いていった。ラファルは座ったままカルサを迎える。

「少しでも多くの力が欲しい。ラファル、一緒に来てくれないか?」

ラファルは数回尻尾を振り、立ち上がった。それは肯定の印。

ありがとう、そう言うとラファルの背中をゆっくり撫でた。そして祭壇の方へと身体を向き直す。

「判断は任せる。力を貸してくれるなら。」

「まずはサルスんとこだろ?」

カルサの言葉を遮って貴未が叫んだ。



「でもそれは皇子の仕事。私達には別の仕事があるわ。」

「準備は進めておく。」

瑛琳に続き千羅が答えた。もしもの事があっても大丈夫なように。続けて言った千羅の言葉に微笑んだ。頼もしい仲間がいることに喜びを感じる。

「助かる。」

心の底から思う言葉だった。それは真っすぐに3人に伝わったであろう、自然と笑みがこぼれていた。

「マチェリラ、オレは永を取り戻す為にカルサと一緒に行く。どうする?」

貴未の微笑みにマチェリラは同じように返した。

「行くわ。今からは自分の為に。」

そして視線をカルサに向けた。そこにはさっきまでの優しい笑みはない。

「もう逃げるのも振り回されるのもイヤ。ケリをつけたいの。」

まるで睨むようにカルサを見つめる。それは長年苦しみ続けた彼女の怒りと悲しみを表していた。カルサは黙って頷く。


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