想-white&black-E-7
「そんなくだらない話は……」
楓さんがそう言い捨てようとした時だった。
「俺と楓は小さい時からの友達。まあ幼なじみってやつかな」
楓さんの言葉を遮って麻斗さんが話し始める。
「楓ん家のことは大体知ってるだろ? 俺は結城っていう無駄にでかい会社とか経営してる家の次男なんだよね。楓とはずっと生まれた時から一緒でさ。よくお互いの家を行き来したもんだよ。ま、腐れ縁ってヤツだな」
「そうなんですか」
やはり二人は親しい仲だったのだ。
それも子供の頃からの深い付き合いのようだ。
「くだらん。とにかく麻斗、お前花音に余計な事をするな。自分の玩具は自分で見つけろ。来い、花音」
「えっ? あ、あの、麻斗さん。それじゃ……」
「バイバ―イ」
楓さんに半ば強制的に連れていかれると、麻斗さんは笑いながらヒラヒラと手を振っていた。
「"手ぇ出すな"ってとこか……。ま、俺は俺で勝手にやらせてもらうけどな」
そう言って麻斗さんがそれまでとは違う企みを含んだ笑みに変わったことなど、私は知らなかった。
楓さんと麻斗さん。
二人の間で揺れ動くことになる。
―――これが私達の始まりだったのだ。