loopV-9
「由紀、付き合おう」
痛いほどのオレンジ色の夕日。
あたしを通り抜ける彼の目が、一瞬あたしを捉えた。
この言葉を言うことで、何かを失う事はわかっている。
けれど、あたしは言わずにはいられなかった。
悲しいだけの独占欲。
醜い。
なんて、貪欲。
あたしにまとわりついていたループがぷちりと小さな音を立てて、千切れて落ちていった。
それは大切なものだったのではないだろうか。
今更にそんな事を冷静に思う。
――でも。
そしてまた、新たなループがここから始まる。