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loop
【幼馴染 官能小説】

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loopV-2

「ばかっ、由紀は睦月にいっつも甘いんだよー」

「ちゃんと買い出し行ったもん!」

「そうそう、こんなに寒いのに睦月は買い出し、よく頑張った。」

諭すように言う由紀とむくれる祐介の後ろ姿を見ながら、あたしはやっぱりいいな、としみじみと思ってしまった。

あたし達三人は、高校を入学して初めて同じクラスになってから、なぜか卒業するまでクラス替えをしても離れることはなく、そのため自然と一緒にいる事が多くなり、偶然にも大学も同じところに進んだ。

いつも一緒にいるのは、由紀がいることでとてもバランスが保たれているからだと思う。
常に落ち着いていて、どんな時も大人でいる由紀は、もちろん祐介もそうなのだけれど、欠かせない存在だ。

それは多分祐介も感じている事で、時々、付き合っている彼女より由紀を大事にする節がある。
それ位、二人は仲が良い。

でも、そんな二人を側で見ている事があたしはとても幸せだったりする。
胸のあたりがじんわり和らぐようになって、自然と笑みが零れるような。

そして、必ず思う事がある。

ずっと、この空気が続けばいいのに、と。





「春生まれなのに“ゆき”なんだ。」


唐突に彼が名前の由来を話し始めたのは、やっと出来上がった鍋をふうふうと一生懸命に食べている時だった。


「予定日も冬で、名前も本当は“雪”だったんだ。
でも予想外に出てくるのにぐずついてね、いつの間にか春になってしまった。」

「両親も困ったんだろうね。
春生まれなのに、“雪”はどうなんだろうって。
あまりにも季節外れすぎる。」

今日の鍋みたいに、と由紀は柔らかく笑った。

「じゃあ、いっそのこと、“春”でもよかったんじゃないか?
なんか、それっぽいのに。」

そう言ったのは祐介だ。
あたしも出汁の効いた白身魚を頬張りながら頷く。
確かに、祐介の言うように、彼は“春っぽい”。
由紀の持つ雰囲気が、春の日差しに似ているからだろうか。


「それがどうやら父親が譲らなかったらしいんだ。また、頑固なんだよ。
そこで母親が“じゃあ、漢字を変えましょう。”の一言で即席の“由紀”のできあがり。」


そう言って、またふんわりと笑う由紀を見て、あたしは、あぁ、と妙に納得してしまった。

おどけたように話しているけれど、これは彼にとって大事なエピソードなのだ。
季節外れであろうが、即席であろうが、彼のお母さんの一言で決まったこの名前にとても意味がある。

あたし達が出会う前に亡くなったという由紀のお母さんを彼はとても大事にしていて、時々話に出てくるのだけれど、その時の由紀の表情はとても柔らかい。
きっと、由紀にそっくりであろうお母さんの話を聞くことが、あたしは好きだった。


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