秘密〜?〜-1
「だぁ?かぁ?らぁ?…
違うって言ってるでしょ!!」
「そう怒るなって、姫♪」
「その呼び方も止めて下さい!」
今は水曜日のお昼休み。
この時間は私、澤井夏実(さわい なつみ)が所属する写真部の活動日。
活動って言っても、部員皆で部室に集まってお喋りするだけらしい。
文化祭には写真を展示するから、文化祭が近くなると何かと忙しいらしいけど、今は4月。
文化祭の準備なんてまだまだで、この日の話のネタは私…
この間、食券を買うのに並んでたんだけど、ぼーっとしてたら私が買う番になってたの。
そのこと、私の後ろに並んでた人に指摘されるまで気付かなかったんだ。
それで、その後ろにいた人っていうのが、写真部の先輩で、2年の瀬田陸(せた りく)先輩。
陸先輩曰く、私はあの時『立ったまま寝てた!』らしい…
それで、陸先輩からは『眠り姫』って呼ばれるようになった。
このことを、3年で部長の寺岡実(てらおか みのり)通称みー先輩に、陸先輩は楽しそうに説明していた。
「しっかし、立ったまま寝れるなんて、なっちゃん器用だね」
にこっと笑うみー先輩。
「だから寝てませんって。
ぼーっとしてただけです?」
私は口を尖らせる。
「絶対寝てたって。
寝てたよね、えみちゃん?」
陸先輩は私が大学で知り合った友達、笠原えみ(かさはら えみ)に同意を求めた。
えみは困ったように笑い
「ごめんなさい、覚えてないです」
っと謝った。
えみは今日付けで写真部に入部した。
そして、えみはあの日、私の隣にいたのだ。
「そっかぁ、残念…
でも…」
「もう、いい加減にして下さい!
まぁ先輩、何とかして下さい…」
私は2年の庵野真崎(あんの まさき)通称まぁ先輩に泣き付いた。
「っという訳だ。
これ以上、可愛い後輩をいじめるようなら、お前の恥ずかし?い過去をバラしてもいいんだぞ」
ニヤリと笑うまぁ先輩。
「そんなことしてみろ?
俺もお前の恥ずかし?い過去。
あることないこと言いふらすぞ」
陸先輩も負けずに応戦。
「あること『ないこと』はダメだろう!」
慌てるまぁ先輩。
勝者、陸先輩!
「まぁはホント弱いなぁ」
ケラケラと笑うみー先輩。