**いざ、出陣!**-1
相変わらず倉庫の中は埃臭くて、視界が悪い。
でもその声と雰囲気で、目の前にいる人が誰かは認識できる。
「日和?」
「うひゃいッ!!!」
「大丈夫、冗談だから。
それより大丈夫?」
えっ‥‥‥?
「あっ‥大丈夫‥です‥」
たぶん‥
大丈夫‥
手が震えてるのは、ちょっとびっくりしただけで‥
足が震えてるのは、ちょっと筋肉痛がきたたけ‥‥
涙が溢れそうなのは‥‥
「怖かったね」
「ふぇっ‥ひっく‥」
「大丈夫だよ」
本当にダメだと思った。
もう諦めるしかないと思った。
もし瀬戸先輩がいてくれなかったらと思ったら震えが止まらない。
先輩の腕の中で泣くのは、これで二回目だ。
暖かくて、優しくて、この匂いに安心する。
総てを預けたくなる。
「ひより‥ごめんね‥」
先輩は悪くない。
そんなに申し訳なさそうな顔をしないでほしい。
しゃくりあげて声が出ないかわりに頭をぶんぶん横に振った。
しばらくして、落ち着いた頃‥
「あの‥‥助けて‥いただいて‥その‥‥あり‥がとうございました‥」
「えっ?声と身長が小さくて聞こえなかった。もっかい言って?」
身長関係ないでしょ!!
「あの‥ですから‥ありがとうございました‥」
「3インチだな」
何が!??
一体何が3インチ!??
私の感謝の大きさ!??
評価が!??
「早く50インチの薄型液晶テレビで見る価値出るくらい迫力のある声出せるようになれよ?」
何の話ですかァァア--!??
「さてと‥ここ埃臭いし、いつまでもいると怪しいから出よう」
そう言われて腕を捕まれ、ひょいっと立たされた。
それにしても何はともあれ助かった‥。
先輩がいかなかったら‥‥ん?先輩‥何でこんなところにいたんだ?