阿婆擦れ-8
そして、2年の月日が流れた。
優香は、人として、高い志を持ち、美しく生きることを学んでいた。人を愛し、人に感謝し、人を育てて生きることを学んでいた。そして、雄大の下へ旅立つ決意をしていた。
夫人の下を訪れ、家を出てきた経緯を初めて話した。雄大の下へ旅立ちたいと話すと、夫人は自分のことのように喜んでくれた。仲人は自分がすると気の早いことも言った。
そんな夫人を見ていると涙が溢れてきた。夫人への感謝の気持ちでいっぱいだった。
玲子と清次に挨拶を済ませると、実家に戻り、両親に心配させたことを詫びた。
そして、雄大の下に旅立った。
夏の暑い日だった。
「ゆうだい。」
優しい声に、雄大は振り向いた。
そこには、麦わら帽子を被った、美しい娘が立っていた。
「来たよ。」
雄大の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
新しい恋の始まりだった。
終わり