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fantasy ability
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reality ability‐第12話‐“真実”の敵、‥‥ナイトメア・アビス──‐-6

互いに交差するだけだったが、カオスの鎧が傷付き皇希の服には一部斬れられていた。2人とも振り返って動く。
剣は先程の発勁でその場に落ちていた。皇希は剣を素早く拾い上げ、カオスへと向ける。カオスも皇希に近付く。
皇希は剣を縦に振る。もちろん、当たる事なく空振りになるが、皇希は避けたカオスへと斜めに振る。だが、躱された。
カオスは隙を逃さなかった。皇希は剣の反動で反応が鈍かった。カオスの拳が皇希の腹に当たる。皇希は数歩下がる。
珍しい事だ。皇希が劣勢なのは。だが、皇希の表情は余裕がありそうな笑みだった。皇希は構える。

「‥‥なかなかの実力だな?“本当の身体”じゃないのに。“他人の身体”でそこまでの力を出せるなら上出来だ。」

皇希は手を前に出す。カオスは身構える。改めて見るとカオスの‥‥神魔 唖紅笥はなかなか男前な顔である。
身体の方は全身の鎧で解らないが、筋肉質な身体と思われる。重そうな鎧で軽々と動くからだ。これが皇希の父親的存在。
それよりも、皇希は“他人の身体”と言った。織音はカオスを見た。

「‥‥ふん。流石は“イレギュラー”だな。気付いているか。」

カオスは当然のように言った。皇希が“イレギュラー”という事も知っていた。

「‥‥“奴”か。‥‥統神 皇希は見つけていないのか。まぁ、いい。‥‥いくぜ?」

皇希の髪の色が変わる。黒から白へ。瞳の色も変化した。右は赤、左は青と。あの時の状態だ。織音は驚く。
皇希はカオスへと突っ込む。カオスは‥‥幻想具現化を使った!型は両端に刃があり、投げても使えるような形だ。
カオスはそれを皇希に投げる。皇希は余裕で躱す。カオスの武器は無くなったように思えたが違った。
投げて皇希に躱された後に消した。再び、手に持った。応用したのだ。皇希は驚く事がなかったが、織音は更に驚く。
カオスは幻想具現化の型を変化させた。次の型は剣。近付く皇希に斬りかかった。だが、皇希は余裕で避ける。
先程からの皇希の動きは数段と速くなっている。これも覚醒しているからだろう。‥だが、何割の力なのかは解らない。
皇希の事だ。少しは余裕を持たせているのだろう。対するカオスの実力もまだまだ解らなかった。平然と立っているからだ。
皇希は剣を縦横無尽に振り回すが、カオスは悉く避けて無傷に終わる。カオスは反撃するように皇希の脇腹狙った。剣を横にして斬ろうとする。
だが、皇希は剣で防ぐ。しかし、反動で斜め後ろに飛ぶ。2人には少しの距離が出来た。皇希の剣が少しぶれる。
すると、カオスの剣が少しぶれた。カオスは双剣に型を変えた。片方の剣が少しぶれる。皇希の剣が少しぶれた。
2人の行動が激しさを増すにつれ、部屋内が震動する程だ。2人の間合いには衝撃的な何かがあった。

「何故、本気にならない?‥‥そうか。この身体はお前の父親のものだからか?」

カオスが言った。言いながらも行動が止まる事がなかった。対する皇希も剣、一本で耐えていた。

「‥‥それがどうした。悪いが、終わりだ。‥‥“神魔 唖紅笥”に宿る二つ目の魂に“真”の解放を。“解魂”。」

皇希が言った直後、部屋の床一面に突如魔法陣が浮かび上がった。もちろん、中心はカオス。

「なっ!?」

カオスの幻想具現化が勝手に解けた。カオス自身はよろけながらも立っていた。胸に手を当て苦しみながらも皇希を睨み付けていた。


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