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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第二話「励ましてあげタイッ!?」-9

**――**

 午後は短距離走が予定されており、綾と美奈子、和彦が体を温めている。
「あーあ、いいなあ、私もおなか空いたなあ……」
 グラウンドジャケットを着ながらその場足踏みを踏む美奈子は、昼食の用意をする部員を見ながら指を咥えている。
「何言ってるんですか先輩、そういう邪な気持ちはあとあと、今は目の前のことをがんばりましょ!」
「綾は真面目すぎー」
 ストレッチしながら綾が言うと、美奈子はつまらなそうに頷く。
 おそらく彼女達の昼飯はバナナとスポーツドリンクのみだろう。既に競技を終えた、もしくは明日の予定の面々は、チア部の男子が用意してくれた三段の重箱を突いていた。
 和彦はというと愛理を捕まえて何か話しており、談笑のあとピンクの包みを受け取っていたのが見えた。
「……やっぱりあの二人、そういう関係なのかな?」
「さ、さあね。知らないなあ……」
 理恵が口元に手を当てながら小声で言うので、真相を知る里美は喉を詰まらせてしまう。
「ねえ、ノリチンもやっぱりお弁当とか作ってもらいたい?」
 のりの悪い里美を放って、理恵はさらに紀夫に話題を振る。
「え? ああ、そうだね。やっぱり料理ができるといいね」
 コンビニで買ったおにぎりを頬張りながらビデオをチェックする紀夫は一般論程度で答える。
「んもー、そうじゃないでしょ? そうねえ、明日作ってきてあげたら嬉しい?」
「いいの? それじゃあお願いしようかな」
 電池を換えながら手に着いた海苔を頬張ると、そのまま短距離走のスタート地点へ向い、場所取りを始めてしまう。
「ぶー、ツマンナイ答え」
「いいじゃん。別に島本なんてさ……」
 里美は甘辛風味の竜田揚げを頬張りながらつまらなそうに言う。
「ふーん、サトミンはいいの? あたしがノリチンのお昼を作ってきてもさ」
「何言ってるの? 別にいいじゃん。そんなの」
「そうなんだー。知らなかったなー」
 頭のてっぺんから膝の辺りまでじろじろ見定める理恵は、どこか珍獣を見る風でもあった。
「何よ? 言いたいことがあるなら言いなさいよ」
 最近この手の嫌がらせを受けることの多い里美はついムキになってしまう。
「んーん、べつにい」
「こら、理恵ちゃん! あんまり里美ちゃんを苛めちゃ駄目よ?」
 つい最近あんまり里美ちゃんを苛めていた紅葉が口を挟む。
「先輩……」
「里美ちゃんは素直になれないんだから」
「はーい!」
「先輩!」
『午後の競技の参加者は第二ゲートに集まってください。繰り返します……』
 昼時の怒声も続く短距離走のアナウンスの前にかき消されてしまう。
「お、そんじゃ行ってきます!」
「うん、がんばれ!」
 綾は振り返らずにガッツポーズを返し、美奈子と和彦もそれに倣った……。


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