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Lesson xxx
【学園物 恋愛小説】

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Lesson xxx 〜later events〜-1

「先生ー!出来たよー!」

いい匂いが漂うキッチンから神崎が俺を呼ぶ。

ちゃんと料理が出来るなんて神崎の外見からは想像がつかない。

髪の色こそ黒いものの毛先は緩やかにカールしてるし、目鼻立ちがはっきりしてるせいか薄くメイクしてるだけでもかなり大人っぽく派手に見える。

制服でかろうじて高校生とわかるが私服になればほぼわからないだろう。

「今日は和食にしてみましたっ」

テーブルには湯気のたってる野菜の煮物。
ブリの照り焼きに豚汁。
冷たい茶碗蒸しまである。

「……野菜ばっかじゃねーか」

神崎はご飯を盛った茶碗をテーブルに置くと腰に手を当てて座った俺を上から見下ろした。

「先生は普段野菜摂ってないでしょ。だから私が作る時は強制的に野菜なの!」

お前は母親か!

でも、俺の体の事を考えて食事を用意してくれる気持ちが嬉しくもある。

向かいに座り両手を合わせた神崎が元気よく声を上げた。

「いっただきまぁーすっ」

思わず笑みがこみ上げて俺も箸を手に取った。

「…いただきます」

そんな俺を満足そうな笑顔で見る神崎が可愛くて内心ドキっとした。

子供は相手にしない。

そう決めてた俺がこんな風になるなんてざまーねーな。

そんな俺の気持ちを覆すぐらいの力が神崎にはあるんだろう。

惚れた弱味と言えばそれまでだが、それは神崎に内緒だ。

俺の思いに気付かずパクパクと箸を口に運ぶ神崎に思わず苦笑が漏れた。

「先生?どうしたの?」

俺の様子を不審に思ったのか箸を止めて問う。

「ん?別に。これだけ料理が作れるなんて大したもんだと思ってな」

「半分一人暮らしだからね。お母さんに無理矢理教えられたんだよ」

神崎の家は父親が単身赴任中で母親もよく赴任先に行く。

娘を信用し過ぎるのもよくないと思う。
実際、神崎はこれ幸いと俺のところに泊まりに来るんだから。

今度の懇談会で俺はどんな顔して神崎の親に会えばいいんだろう…と少し後ろめたい。


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