想-white&black-D-6
「何だ、そんなことか。お前は知らなくてもいいことだよ。それに学力について心配しているなら大丈夫だろう」
「は……?」
「確かにあの学校はレベルは高いと言われているが殆んどは金でモノを言わせてる連中ばかりだ。もちろん全ての人間がそうとは言わないがな……。それに以前の高校もそれなりに進学校としてはいいところだっただろう? 花音の成績なら別に問題はない」
「でもっ、私はっ」
考えうる理由をつけて何とかその話を阻止しようと試みる、が。
私を見る楓さんの双眸がすうっと冷気を帯びる。
「これは俺がもう決定したことだ。逆らうことは許さない。分かっているだろ?」
その射抜くような厳しい視線に思わず何も言えなくなっていた。
押し黙った私を見て楓さんは鼻で笑うと、食事を終えてさっさと席を立って出ていったのだった。