魔性の仔B-1
「いいか?今日はここで待ってるんだぞ」
緋色の長い髪に、丈が短く淡いオレンジの地にチェック柄のワンピース。少なくとも今までのラフな服よりよく栄える。
しかし、新しい服に袖を通す嬉しさよりも、置いてきぼりに会う辛さに少女は浮かぬ顔だ。
刈谷はしゃがみ込み、少女に視線を合わせると諭すように云った。
「そんな顔するなよ真弥。午後には戻るから」
少女──真弥の手を握り、なんとか理解させようとする。
刈谷が彼女を保護して5日目の朝を迎えた。
当初は逆行性健忘と考えていた失言症や記憶の欠落。それが未だ戻らぬことに彼は焦りを感じ始めていた。
──なにか、別の原因なのか?
そうなれば、彼女を病院で診てもらう必要がある。
しかし、刈谷は真弥を連れて行く前に確かめたいことがあった。
それは昨日、雲水姿の男性を降ろした杣道の奥だった。
刈谷には──真弥とその男の雰囲気が似ていて、どこかで繋がっている気がして仕方なかった。
「今日はな、真弥と初めて出会った場所に行って来るから。
先生も昼まで出掛けてるから、大人しく留守番出来るよな?」
頼みとも取れる刈谷の問いかけに、少女は少し沈んだ顔で了解の頷きを見せた。
「ヨシッ、良い子だ。冷蔵庫にサンドイッチとジュースが入ってるからな。お腹が空いたら食べてくれよ」
刈谷は笑顔で少女の肩を抱いた。彼女も応えて腕を回す。
「じゃあ、行って来るから…」
密着させた身体を離して刈谷は部屋を後にした。
真弥は窓際に立ち、刈谷のクルマが見えなくなくなるまで眺めていたが、すぐに部屋中の戸締まりを行うと、力無くリビングの床にペタリと座った。
誰も居ない状況──初めてのシチュエーション。
真弥は、ここ数日夢に見ることを頭に思い浮かべていた。
最初に見た時は彼女自身、驚きだった。自分が刈谷に抱かれていたのだ。
それも自ら裸になると、刈谷のベッドに潜り込み、彼の寝間着を脱がせていた。
「…ふう…ん…」
思い出しただけで身体が熱くなる。真弥の小さな掌は知らぬまに内腿に滑りこむ。
夢の中でも同様になった。刈谷の裸体に触れた途端、頭が熱くなり、思わず彼の身体を舌で舐めていた。
気は昂ぶり、熱は頭から身体へとどんどん広がりながら、痺れのような感覚に陥った。
「…うん…んん…」
そしてとうとう、舌の刺激に反応した刈谷のペ〇スに手を添えて、自らの膣内へと導き入れた。