MY ROOM -spring 葛藤--3
「‥お前。」
「毎朝一緒にいる女だろ。オレ知ってんだ。不破ちゃん、最近おかしいよ。予習だってしてこないし、授業中もぼーっとしてる。あの女のこと考えてるんだろ?」
少しムッときた。
「‥関係ないだろ。そんなこと言われる筋合いはないね。」
「‥‥。」
間髪を入れず言ってやった。
「それにお前こそどうしたんだよ?2年になってから、ガタ落ちじゃないか。あれだけ張り合ってたのによ。らしくないぜ?」
高村は下唇を噛んでオレを睨んだ。
「不破ちゃん、会いに来てって言われたんだろ?学校あるのに会いに来てって、おかしいと思わない?。不破ちゃん遊ばれてるよ?女は男をダメにする。決まってるじゃないか!」
!!
「関係ないだろ!!」
楓はそんなんじゃない!!気付いたら、高村の胸ぐらを掴んでいた。
「行っちゃダメだよ。会いに行ったら、あとはひたすら堕ちていくだけだよ。オレ、そんな不破ちゃんの姿見たくない!」
クラスが静まりかえる。
掴んでいた手を離して言った。
「‥ゴメン‥高村。オレ行くよ。あいつのことマジで好きなんだよ‥。」
「不破!!」
高村がオレに掴みかかった。なかなか離そうとしなかったので、とっさに高村を突き飛ばしてしまった。
何も言わず立ち去る‥
友の眼に涙が浮かんでいるのが微かに見えた。
待ち合わせは河川敷きの公園だった。まだ彼女は来ていない。
ふと、高村の姿が浮かんだ。なに必死になってんだよ。‥あいつ。何かあったな。
でも、今はそんなことはどうでもいい。‥ただ、好きなんだよ。楓のことが。誰よりも、何よりも、かけがえのない人なんだ。初めて好きになった人なんだ。
高村にはあとで謝ろう。そう心に決めた。
その時だった。
「鷹文ーっ!」
来た!彼女が走りながら手を振りやってきた。
「はぁ‥はぁ‥。」
よほど急いでいたのだろう。息が荒い。
「待った?」
「ん?全然。」
‥なんて定番な台詞。
しばらくの間、静寂が二人を包んだ。1分だったろうか。もっと長く感じた。このままではいけないと思い、何か話そうとした時だった‥。
「‥鷹文っ!」
「うっ‥」
びっくりした。楓がいきなり抱きついてきたのだ。彼女は背が低い。はずみで腹に頭があってしまい、思わず声がでてしまった。
彼女は抱きついたままで何も言ってこない‥