やっぱすっきゃねん!VH-13
夜。電話口には嬉しそうな顔で受話器に向かう佳代が居た。
「ようやく今日、1イニング投げさせてもらえましたッ!」
喜びを伝えてるのは、もちろん一哉だ。受話器の向こうから聞こえる声から、弾んだ佳代の顔を思い浮かべて微笑んでいる。
「良かったな。信頼してくれた監督やコーチ、仲間に感謝しろよ」
「ハイッ!」
自分が投げたイニングの状況を、佳代は早口で辿る。最後は感極まって涙声だ。
一哉は黙って聞くと、言葉が途絶えた時を見計らって云った。
「佳代。──信頼される立場─になるんだぞ」
一哉はひと言を残して受話器を置いた。その表情は、これ以上ないほどに晴れやかだった。
2日後。
青葉中は3回戦を迎えた。これに勝てばベスト8となり、その後は決勝まで3連戦となる。
ピッチャーの疲労はピークを迎えるため、仲間の誰もが佳代を含む5人をベンチ入りさせると思っていた。
だが、ベンチに佳代の姿は無かった。
…「やっぱすっきゃねん!??完…