投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

精神科医佐伯幸介出会いサイト物語
〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜
【女性向け 官能小説】

精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜の最初へ 精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜 0 精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜 2 精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜の最後へ

精神科医佐伯幸介出会いサイト物語
〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜
-1

【幸介の卒論(T大医学部)より】
 溢れるほど豊かな語彙力は、いかなる哲学をも探求させ、みずからの心を十重二十重に脚色する力を持っている。漆塗りのように脚色された心は、第三者にその中心部分を悟られることはなく、ときには自らの大脳にさえもその正体を包み隠してしまう・・・

赤坂にある高層ホテルのツインルームの窓に、東京のネオンが溢れていた。
 明かりを極力落とした部屋には、その内部にまで僅かな光は届いている。
部屋に届く光は、窓際に立つ倫の白い顔にも反射し、縁のない眼鏡と肩の下までまっすぐに伸びる黒髪にも七色の模様を描いていた。
 倫の視線は、遠く瞬く微かな光を眺めているようだったが、実際には何も見えてはいなかった。
と言うよりも倫の大脳はそれを意識していなかった。
 意識は、部屋の空気の動きに集中していた。
わずかな空気の変化も見落とすことのないように、神経の全てを背中に配置していた。
今、部屋には倫の他にもうひとりの人物がいた。
倫は、その人物の動きに全神経を向けていたのだ。
 激しく脈打つ鼓動は、倫の身体をこわばらせ、長身の身体を小刻みに震わせていた。
 倫は、自分の動揺をその男に知られたくなく、ゆっくり大きく呼吸をしようと努力していた。
 幸介は、煙草を灰皿に落とし込み、ひどく緩慢な動作でソファーから立ちあがると、ゆっくりとだが何の躊躇いも見せずに倫の背中に近づいていった。
 無音のツインルームでも、幸介の足の音は聞こえなかったが、緊張した倫の背中は、その僅かな空気の動きを捉えていた。
 幸介がたどり着くまでの時間が倫にはひどく長く感じられた。
 秒単位で数十センチほど近づく幸介と、それを包む空気の流れを、いちいち背中で捉えることができた。
 倫の鼓動は激しさを増していく。
 倫は窓枠に右手を添えた。
 そうしないと膝から崩れ落ちそうで不安だったからだ。
 幸介は、両手をそっと倫の肩に置いた。
 心臓の鼓動が、固く強張った倫の身体を通して幸介の掌に伝わる。
 倫は、固く瞳を閉じた。
 肩に置かれた掌は、そのまま交錯するように胸元へ伸び、倫をやさしく包みこむ。程よい力と体温に包まれた倫の身体は、頑なだった心をも溶かし始め、激しかった鼓動はゆっくりとだが落ち着きを取り戻していった。

 十時間前

 倫は、職場である文芸部のデスクで昼休みをつげるチャイムを聞いた。大きく伸びをして、集中した神経を開放していると、いつものようにドアを開けて黒木が入って来た。
昼食の誘いに来たのだ。
だが、今日の倫は、黒木と昼食を共にすることが心に重かった。
体調を理由に断ってしまった。
黒木は何か言いたげな顔でしばらく倫を見ていたが、やむなく部屋を出て行った。
 黒木は、政治部に所属し将来を嘱望されるエリート記者だった。同時に倫の婚約者でもあった。そのことは社内中に知られていることで、教養と美貌を兼ね備えた才色兼備の倫と将来を約束された黒木、誰が見てもうらやむようなカップルだった。
 昨日までは、倫もそう思われることを喜んでもいたのだ。
 倫は、自分のデスクに両肘をついてもの思いにふけった。
 昨夜、黒木は倫をホテルへ誘った。
婚約をしてひと月が過ぎ、始めて誘われた。
都内で軽くパスタを食べ、黒木の運転するBMWで郊外に向かう。
渋谷から東名高速に乗り、神奈川県に入ったところで黒木は高速を降りた。
そしてそのままラブホテルの駐車場へ車を進めたのだ。
倫には断る隙がなかった。
いや、断る気持ちも無かった。


精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜の最初へ 精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜 0 精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜 2 精神科医佐伯幸介出会いサイト物語<br>〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前