精神科医佐伯幸介出会いサイト物語
〜カルテNo1の1 藤堂倫 27歳 独身 新聞記者〜-5
(ああ、もう焦らさないで、意地悪しないで・・・)
倫は言葉になりそうなのを堪えていた。
股間からは愛液が溢れだし、小さ過ぎるピンクのショーツには染みが出来始めている。
倫は感度の良すぎる自分の身体を憾んだ。
(私はそんな淫乱じゃないわ、そんなじゃないのよ!)
そう思いながら、パツンと張った両腿を固く閉じ、その時が来るのを待っている倫だった。
ようやく幸介の右手の動きが変化し始める。
結局、乳首に到達することのなかった幸介の指は、乳房から離れ下腹部へと下って行った。
それはゆっくりだが真直ぐに倫の一番敏感な個所を目指して下っていく。
指の歩調にあわせ、うなじを刺激していた幸介の唇も鎖骨から豊かな乳房へと移動していく。
(ああ、そうよ、早く・・)
倫は嬉しさに震えるようだった。
幸介の指は途中ショーツの上から繁みを楽しみ、そしていよいよ・・・。
倫は、自分がすっかり愛液を流してしまっていることを知られるのが恥ずかしく、両腿をきつく閉じようとするのだが、欲望がそれを邪魔したのか、反対に薄く開いてしまうのだった。
もう幸介の指は、あと数ミリでその部分に到着する。
(幸介さん・・・)
倫の両手はシーツを握り締めていた。
しかし、それは倫の期待したか所を通り過ぎて、内腿まで下ってしまったのだ。
(えっ?違う・・・。私の欲しいのは・・)
思わず口走りそうになった倫は閉じていた瞳をひらき、幸介の様子をさぐる。だが、すぐにまた瞳を閉じていた。
それは、幸介の唇が乳首に止まってくれていたからだった。
「ん。うぅん。」
倫の口からはわずかに喘ぎがもれた。
幸介は、上下の唇で乳首を軽く挟み、舌先で先端をつついた。
「うぅん、あぁ、あん。」
倫の結ばれていた唇はわずかに開き、そして丸く開いていく。
乳首に送り込まれる快感を感じながら、倫は
(ああ、焦らさないで、早く私の身体を貴方のものに・・・)
そう心の中で願っていた。
(倫のことを知らない男性なら、私をメチャクチャに・・・?)
今、ようやくその願いが叶いそうだった。
倫は、清酒で有名な近畿地方の造り酒屋の長女として生まれた。藤堂酒造は、父親で一四代を数える旧家だった。倫には三歳年上の兄がいた。兄は一五代目を目指し父のもとで修行中だ。
倫は、有り余るほどの両親の愛と家計に恵まれ、文字通りまっすぐに育った。近畿地方としては珍しいが三歳の頃からフィギュアースケートを習い、中学に入学する頃には全日本のジュニア強化選手に選抜されるほどになっていた。地元では将来オリンピックのメダル候補として大いに期待されていた。学業も常にトップクラスで、高校は両親の元を離れ、東京にある有名私立女子大付属高校に通うつもりだった。そこでスケートを続けるつもりでいた。だが、倫は15歳のときにきっぱりそれを諦めた。理由は発育の良すぎる身体だった。倫の身体は中学二年の後半からすくすく育ち、バストはFカップになっていた。大きすぎるバストとヒップはスケートには向かない。無理して続けることもできるが、倫は自分の身体を好奇な視線に晒すことが嫌だった。たいして悩むことなくスケートを捨てた。
結局、県下屈指の公立進学高校に進んだ倫の身体は益々女としての魅力に溢れ、加えてその美貌は隣の市にまで聞こえるようになっていた。絵に描いたような才色兼備だった。うわさを聞きつけた芸能プロダクションからの問い合わせも度々あった。倫は、そういった周囲の反応を相手にしなかった。あまりに煩いので、倫は眼鏡をかけるようになった。もともと視力も強くはなかったのだ。高校始まって以来の女性生徒会長を務め、卒業式には生徒代表として演壇に立った。
高校卒業後、倫は東京の国立女子大学に進学し、そこで政治学を選考した。倫の夢は新聞記者になることだった。もちろん故郷の両親は、大学卒業後は家に帰ってくることを望んで猛反対したが、持ち前の好奇心で両親を説得し、夢がかなって倫は全国紙の記者をしている。正確にはまだ政治記事を書くことは許されてなく、文芸部に所属し文化遺産を取材するコラムを担当していたのだが。