魔性の仔A-11
赤く光る目。
闇に浮かぶ光は、刈谷の心にさらなる昂ぶりをもたらした。
下腹部に痺れを感じだす。果てるのも間近だ。
その時だ。今まで悦びの喘ぎを上げていた真弥の口が大きく開いた。
刈谷は見た。その広げた口中で鬼歯が生え、妖しげな笑みを浮かべていることを。
「…!はッ!はッ、ああ…」
恐怖の中、刈谷は目を覚ました。部屋のカーテンは陽光を浴びて明るくなっていた。
──また…同じような夢…。しかも、リアルな感触が残って…。
傍らを覗けば、夢でない、本物の真弥は刈谷にまとわり付くような格好で眠っていた。
──それにしても、あの目に、あの牙のような……。
不可解な夢に困惑気味な刈谷だった。
…「魔性の仔」A完…