「アジアの闇を追え!〜後編〜」-7
捜査関係者によると、男は誘拐団のメンバーで、誘拐した児童の斡旋(あっせん)先を確保する役割を担っていたとみられる。この誘拐団は平成17年から19年にかけて、山西省や山東省など中国国内3カ所で、児童3人を人身売買目的で誘拐した疑いが持たれている。
中国当局はこれまでに誘拐容疑でメンバー数人を逮捕。捜査の過程でこの男も捜査線上に浮上したが、男は逃走した。その後の捜査の結果、男が知人男性になりすましてパスポートを取得し、19年6月ごろに「研修」名目で成田空港から日本に入国していたことが判明した。
誘拐された児童3人のうち2人は見つかっているが、1人は行方がわからないという。中国当局は、行方不明の児童を保護するなど全容解明を進めるためには男を逮捕して供述を引き出すことが不可欠と判断し、誘拐容疑で逮捕状を取った。今年4月には男の身柄を引き受けるため、日本側に国際刑事警察機構(ICPO)を通じて男の情報を伝えるとともに、男の身柄を確保して日本国外に強制退去させるよう要請した。
要請を受け、警視庁組対2課が捜査を開始。男が東京都大田区内のアパートで寝泊まりし、自宅近くの食品製造会社の工場で従業員として働いていることを把握。男が19年6月ごろに他人名義のパスポートで日本に入国し、不法に滞在を続けているとして、入管難民法違反(不法入国、不法在留)の容疑で逮捕状を取った。(ソース・産経新聞6月4日)
男の日本潜入の目的は不明である。
中国当局はようやく自国に広がる人身売買・誘拐ビジネスの深く果てしない闇を認め、その摘発に向けて重い腰を上げつつあるように思える。俺たちは少なくともそう信じたい。