フライング〜flying〜-2
「あなた達もずっとここにいては大切なモノを見つけられずに終わってしまう。外の世界には―」
お母さんは羽を広げ飛び出し、弧を描きながら青い空へ昇っていきました。
そして、いつも優しいお日様を背にしてこう言いました。
「あなた達の知らない楽しいことがたくさんあるんだから」
お母さんの体がお日様によって、キラキラ金色の線で縁取られていました。小鳥達はそれを見て、希望が溢れてくるのが分かりました。
小さな羽をはためかせ、ふらつきながらもお母さんの元へ。
小鳥は言いました。
「私、楽しいことを見つけるために飛び立つわ!」
違う小鳥も言いました。
「大切なモノを見つけるために飛び立つわ!」
それを聞いていた雄の小鳥も言いました。
「希望に向かって飛んでいくよ!」
子供達の言葉を聞いて、お母さんは笑顔で頷きます。そして、小鳥達は各々の方角へ飛んでいきました。
しかし、一番小さい小鳥だけはまだ飛び立てずにいました。
「楽しいことや大切なモノや希望が何か、僕には分からないんだ!」
ピーピー鳴く小鳥にお母さんは言いました。
「誰でも最初は分からない。それでも絶対に見つけられるわ。だってあなたは、私の子だから」
小さな小鳥は少し俯いて、でもこくんと一つ頷きました。
「それなら僕は」
小鳥は顔を上げました。その目に迷いはもう、ありません。
「僕は外の世界を知るために飛び立つよ」
小さな小鳥は南に向かって飛んでいきました。
その瞬間、私はもう一度学校へ行くことを決意しました。
また学校へ行くのは恐い。家にいれば安全。
それでも私は彼らを見て、大事な何かを見つけるためにもう一度、飛び出したくなったのです。
私も必ず、翔べる。
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