想-white&black-C-2
「花音。お前の中でイカせてもらうぞ」
ふっと耳元に唇が寄せられると、信じられないか言葉を囁かれ私は一瞬で全身から血の気が引くのを感じる。
そんなことされたら……っ!!
「いやぁっ! それだけは嫌っ。絶対に嫌あっ」
「お前の言うことなど聞く必要はない。黙って俺に抱かれてたっぷりと啼けばいい。……くっ、もう……出るぞっ」
いくら泣いても懇願しても彼の意志が変わることはなく、動きが速まり激しさを増してきた。
冬場だというのに楓さんのこめかみから流れ落ちた汗が、私の鎖骨や胸元で弾けていく。
「イヤ……っ、ダメッ。やめてえっっ!!」
もうほとんど泣き叫んでいるような状態だった。
何とかして逃げようと身体を捩れば、楓さんに唇を無理矢理重ね合わされる。
「く……っ、う」
「ああぁぁっ」
私の中で楓さんの欲望が弾け、信じられないほど熱いものが流れ込んでくるのを感じた。
楓さんは私と繋がったまま重なるように倒れてきた。
荒い呼吸で背中を上下させながら、私の身体に腕を回すときゅっと抱き締める。
それからようやく手首の戒めを外すと、擦れて赤くなった部分に目を細めた。
「赤くなってしまったな……。花音」
名前を呼ばれビクッと身体を震わせて反応してしまう。
これ以上更に何かされるんじゃないかと思うともう耐えられなかった。
「花音、返事をしろ」
「はい……」
いつものような威圧的な物言いではなかったけれど、今の私にとっては恐怖でしかない。
声も震えて上手く話せそうもない。
早くここからいなくなりたい、一人になりたい。
私が返事をすると、楓さんは安心したかのように小さく息を吐いた。
「良かった……」
彼が何かを呟いたような気がしたが、私には聞き取れなかった。
今はそんなことどうでもいい。
「楓さん……、も、もう離れて」
「………し」
「え?」
「もう少し、このままいてくれないか」
「―――っ」
そう囁くと私を抱く腕に力が込められる。