秘密〜出会い〜-2
「え!?みー先輩って女だったんですか!?」
べしっ。
「ほらね、すぐこうやって人をバカにするんだから」
「ほらね、すぐこうやって人を殴るんだから」
寺岡先輩の前に座っている庵野先輩が、頭を擦りながら私に説明する。
「え?何、まぁ。もう一発殴られたいだって?」
「す〜ぐそうやって人殴るから、女扱いされないんです。
いい加減に直さないと、『先生こわ〜い』とか言われて、子どもたちに嫌われますよ」
「まぁはわかってないなぁ。この私が嫌われるわけないでしょ?」
「どっからくるんスかね、その自信…
ところで夏実ちゃん」
庵野先輩が急に私に話を振ってきた。
「これから『なっちゃん』って呼んでいい?
俺のことは『まぁ先輩』って呼んでくれると嬉しいな」
にこっと笑った、まぁ先輩。
「うわっ!自分から『先輩』付けるように言う?普通」
「誰かさんが可愛くないから、なっちゃんみたいな可愛い子から『先輩♪』って呼ばれてみたいんです〜」
「なっちゃん、コイツは止めておいた方がいいよ。
良い噂聞かないからね」
「こらこらそこ!
変なこと吹き込まない!」
「大事なことじゃない。
私の可愛い後輩が傷ものにでもされたら大変よ」
寺岡先輩が私を抱きしめながら言う。
「あっ私のことは『みー先輩』でいいからね」
にこっと笑う、みー先輩。
「あっ!自分こそ『先輩』付けるように言って!」
「だって先輩だも〜ん」
「俺だって、なっちゃんから見たら先輩です〜」
べしっ
「うっさいわよ、まぁ。
もう一発殴られたい?」
「もう既に殴ったじゃないですか!」
「うん、だから更にもう一発」
「いやいや、イミわかんないし!」
「あはは!」
私は二人のやりとりが面白くて、とうとう笑ってしまった。
「ほぅら、まぁがバカしてるから、なっちゃんに笑われた〜」
「みー先輩の俺に対する仕打ちがヒドイからでしょ!」
こういった素敵な先輩に囲まれ、私の大学生活はスタートした。