遠恋ーえんれんー3-1
『遠い距離が二人近付けてく』
『そう思えるの』
なんて歌詞があったなぁ。
誰が歌ってたっけ。
忘れちゃった。
こんな恋愛するために今まで泪を待ってたんじゃないよ。
こんな思いするために泪を愛したんじゃないよ。
誰かを愛するのがこんなに辛いなんて聞いてないよ。
変わっちゃったのは泪?
それともあたし?
わからない。
何がわからないのかさえわからない。
痛い。
泪を想うとこんなにも心臓が痛い。
愛してるって体が叫んでる。
普通は心が叫ぶんだろうけど。
「もー‥お腹いっぱい‥。」
「もう!?‥せめてあと一口だけでも食べてください。わかった?」
「‥はぁい‥」
茜に怒られてしぶしぶスプーンを口に運ぶ。
うぅ‥ホント胃が限界。
あの電話の後からあたしの体はバラバラに壊れてしまった。
ご飯が食べれない。
夜が怖い。
泪という支えをなくしたあたしはこんなにも弱い。
男に寄り掛かるタイプの女は大っ嫌い。
失恋してずっとメソメソしてる女も大っ嫌い。
だけど。
今まさにあたしがそんな女になってる。
「ごちそうさまでした。」
半分以上残したカレーライス。
食欲をそそるスパイスも、今のあたしには何の効果ももたらさない。
「ねぇ‥何があったのか教えてよ。そんなにやつれてる美音見てられないよ‥」
茜ごめんね。
言えない。
言ったらコレが現実だって受け止めなきゃいけない。