遠恋ーえんれんー3-3
「美音。何があったんだ?」
「は‥?」
「何があったか正直に言えよ。」
「特にないけど‥」
「嘘つくな。まともにご飯さえ食べれてないじゃないか。」
「あれは‥違うの。別に食べたくないだけ。だからそんな怖い顔しないでよ。」
なんであんたに怒られなきゃいけないのよ!
そう思って蓮を見ると、怒った顔じゃなくて‥なんというか心配してる顔をしてた。
「ふざけるな。こんなに痩せて、まだ言い訳する気かバカ。」
「‥すみません‥」
素直に謝る。
だって蓮が娘を心配するお父さんに見えてきて。
なんだか笑えた。
「もしかして心配してくれたの?ふふっ‥面白い‥」
「‥何が面白いんだ‥?」
やべぇ。
思わず笑ってしまったあたしを見て、蓮がキレた。
「ああ心配したよ!美音が最近どんどんやつれてきて、心配で心配でしょうがなかったよ!もしかしたらアイツが美音のこと泣かしてんじゃないのかって悩んだりして、朝から晩まで美音のことしか考えらんなかったよ!悪いか!?」
びっくりして何も言えなかった。
蓮から、こうも何度も『美音』って呼ばれるとは。
そんだけ真剣なんだろうけど。
「アイツって泪のこと?」
やっと口から出た言葉はコレ。
自分でもズレたこと聞いちゃったなぁ‥と後悔。
「君はそこを突っ込むのか‥。そうだよ、あのバカのことだ。」
む。
人の彼氏をバカ呼ばわりしやがったなコノヤロウ。
つい泪を庇うことを言ってしまう。
「泪はバカじゃない!」
「バカだよ。」
蓮も反撃してきた。
んー‥むかつく!
「どこがよ!?」
「美音を泣かせるとこ。」
「‥!」
自慢じゃないけど、あたしは人前じゃ泣かない。
泪の電話の後も、一人でこっそり泣いた。
電話から2週間たった今でもたまに泣いてしまうけど、それを人に話したり、人前で泣いたりなんかは絶対にしてない。