『It's A Wonderful World 1 』-7
「お前らもな!」
とっさにマサキとアキヒロが顔を伏せる。
なんだかんだで、僕たちはみんなダメなのだ。
「まあ、なんだ。いつもつまんなそうにしてるならさ、一生懸命になってみればいいじゃん。恋愛とかにさ」
僕はマサキを見つめた。
正気かコイツ、言ってて恥ずかしくないのかと思う。
「……」
自覚はあったのか、マサキの顔は少し赤かった。
「とにかく、自分でもこのままじゃマズイと思ってるんだろ? 片思いなんてお前のガラじゃないだろ」
たしかに。
現に自分がキモすぎて、命を絶ってしまいそうだ。
「誰狙ってるんだよ? 俺たちが手伝ってやるから、言ってみろって」
「そうだ、早く言え。俺は鮎川さんに惚れて三十分後にはお前らに言ったぞ」
それはお前が自爆しただけだ。
こんな時。
アキヒロはともかくマサキは頼りになる。
いつまでも、あの子のことでウジウジしているのは嫌だった。
「言えって」
マサキの声は低く、大人びていて、僕は危うく口を開きそうになった。
放送室という性質からか、この部屋はやけに音を吸収する。
誰も口を開かないと、急に無音の世界になるのだ。
どうする。
マサキに頼れば、この悩みはたちまち解決する。
そんな気がする。
でも、恥ずかしい気もする。
こんなことを誰かに言ったことなんて一度もない。
というか、恋愛なんて初めてだ。
「シュン? 俺たち、友達だろ?」
そうだ友達だ。
友達だから…。
「ていうか」
なんで僕が詰問されてるんだ。
あれ?
マジでなんでだ。
アキヒロをなじってたんじゃないのか。
アレレ?
おかしくね?
どういうこと?
どんな展開だよこれ。
「……」
まあ、いいか。
確かにアキヒロに僕の男らしさを見せてやるのも悪くない。
そうだ、あの子に惚れてキモく悩んでるなんて、僕らしくない。
僕は、ゆっくりと口を開いた。
つづくけどね!