……タイッ!? 第一話「守ってあげタイッ!?」-9
――あーあ、やっぱりされちゃうんだ……。
儚い抵抗も無駄と知り、理恵はぺたりと尻餅をつく。
「ふん……わかったわよ」
――どうせされちゃうなら、気持ちよくしてもらいたいな。
「シタイならすればいいじゃん? でも、ヘタクソだったら怒るからね」
「へへ、話がわかるじゃん」
理恵は寝そべると脚を開き、飢えた獣達から目を逸らそうと部屋の隅を見る。
悟はその太腿を嘗め回すように触りだし、取り巻き立ちも左右の乳房を乱暴にもみだす。
「すげー、さすがホンモノ。やべ、出ちゃいそう……」
「やっぱり初めてなんだ。笑っちゃう……」
「うっせー、お前みたいなヤリマンと違うんだよ」
――ヤリマンだなんて失礼ね……。そんなに遊んでないもん。
スカートが捲られるとショーツが顔を出す。練習中の汗で蒸れてよれよれになった格好悪いショーツを見られるのは別の意味で不快だが、されているという意識が彼女の鼻息を荒げさせた。
「なんだ、あんますごくないな……」
「なによ、その言い草。いっとくけどね、本当はもっと可愛い下着あるんだからね!
あんたらにはもったいないから見せてあげないけど」
精一杯に強がりだが、男たちは意に返すことなく、布を剥がそうと、太腿に手を当てる。「すげ、なんか変なにおいしてきた……これが女の匂いなのかな?」
「さあな……、ん、んっと、よし……、脱がせたっと……」
ピンク色のショーツがふくらはぎの辺りまで下ろされると、三人は目を皿のように開き、陰部を見ようとする。
しかし、三人が影になると目的のものが隠れてしまう。
「おい、明かり……」
「だって、誰かきちゃうよ」
「こねーよ、つかあるわけねえじゃん」
「いいよ、俺がつけてくる」
真吾は立ち上がると、壁にあるスイッチを押す。
パッと明かりが部屋中に広がると理恵の中で羞恥心が甦り、スカートの裾で秘部を隠してしまう。
「なんだよ、今更怖気づいたのか?」
「だって、恥ずかしいじゃん。電気消してくれなきゃやー!」
苛立ちながら裾を掴む悟と抗う理恵。その結末など火を見るより明らかだが、それでも彼女は抵抗する。
「んだよ、いつもケツ見せて男誘ってんだろ? 今更ブリッコすんじゃねー!」
「やぁ!」
牙むき出しに威嚇する悟に理恵は悲鳴を上げる。
もう性への期待どころではない。今自分は強姦されかけているのだ。こんなことなら男子を挑発するべきではなかった。
そんな後悔をしながら、目をぎゅっと瞑る。それでも滲む熱いもの。泣き喚いたら許してくれるだろうか? きっと口を塞がれるだけだろう。それなら涙を見せたくない。最後の意地は弱気なところを見せないこと。それだけかもしれない。
「ちょっと、誰かいるの? 鍵開けてよ。今声がしたよね!」
外からドアを叩く音と声がした。
「あ、マネージャーく……ふがふぐ……」
「伊丹さん? 伊丹さんいたの?」
悟は理恵の口を塞ぐも、外にいる男子はそれに気付いている様子。
「伊丹さん、開けてよ。ねえ、どうして鍵を閉めてるの?」
「……ねえ、どうする?」
弱気な和也が悟を見る。
「しかたねえ、おい理恵、俺たちは隠れるけどな、このこと黙ってろよ。もし話したりしたら犯すからな……」
低い声で脅す悟に理恵はぶんぶんと首を振る。それを確認すると、三人は視聴覚準備室へと逃げ込んだ。