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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第一話「守ってあげタイッ!?」-4

「うん。ごめん。だけど伊丹さん、伊丹さんがしないといけないんじゃないの?」
「だってぇ、数学苦手なんだもん。あと物理と化学、それに政経も日本史も、そうそう世界史も嫌いだわ」
「そんな、全部じゃん……」
「だ〜か〜ら〜、マネージャー君しか頼りにならないの、お願い!」
 手を合わせる理恵は悪びれる様子もなく、媚びた上目遣いをよこしてくる。
 これまで何度も利用されてきた紀夫にしてみてれば、うわべだけの「頼りにしてます」など薄ら寒いだけ。ただ、最近芽生え始めた異性への興味からか、それも悪くないと思えるようになっていた。
 ――伊丹さん、彼氏いたんだ。じゃあやっぱりエッチ、したことあるのかな?
 喋るたびに揺れる胸元のリボン。そして、性格に比べてずっと控えめな胸。
 ――あんまり大きくないんだ。
 里美と重なったあの日に感じた質感と比べれば見劣りもする。そう思うと多少なり彼女の横暴さが可愛らしく見えてくるが、
「あ、今エッチなこと考えたでしょ?」
 勘が鋭いらしく、彼女は少しでも隙を見せると容赦なく不埒な視線、妄想をついてくる。
「ごめん」
「やっぱりマネージャー君も男の子ね」
 目を伏せるも視線は未練がましくスカートの裾を見てしまう。理恵はそれに気付いているのか、わざとらしく脚を組み替えて頬杖をつく。
「……ねえ、やっぱりサトミンのこと好きなの?」
 年頃の女子らしく恋愛は大好物。理恵は食堂での続きを所望している様子。
「香山さんとはなにも無いよ。ただのマネージャーと部員だってば」
「でもさ、なんで嘘ついてまで陸上部に入ったの? それも女子のマネージャーとかさ」
「それは……」
「サトミン狙い。普通そう考えない?」
 陸上部では女子の中で男子が一人となにかと肩身の狭い紀夫だが、入部するきっかけとなった里美とは話をしている。しかし、逆に見ればそれはそういう理由。つまり、好意を寄せる相手の力になりたい、傍にいたい。そんな邪推をされるわけで…
…。
「香山さんの力になりたい。それだけだよ」
「ふーん、サトミンの力にだけなりたいの?」
「なんだよ、こうして伊丹さんの補習も手伝ってるでしょ? そういうんなら辞めちゃうよ」
「気に触ったら謝るよ……。でもさ、やっぱり、ほら、ねぇ……」
 喋るたびに揺れるポニーテールを指でくるくる回し、言いにくそうに半眼をよこす理恵。
「なにさ、まだあるの?」
 まだ里美との仲を邪推されるのかと不快感をあらわにする紀夫だが、
「応援してあげてもいいよ? なんてね……」
「な、別に僕と香山さんはそういう関係じゃないよ。本当にただ力になりたいだけで……」
 口調こそ荒げているものの、笑顔を向けられると怒る気持ちが薄れる。
 そんな魅力が、理恵にはあった。


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