MY ROOM-2
楓は休日になるとオレの家に来るようになった。1週間分の分からなかった問題を教わりに来ていた。かと言って、全ての時間を勉強に費やすのもイヤだったので、二人でなんとなくおしゃべりしていた。ウチ、ゲームないんです...。
「ねぇ、不破君って彼女いるの?」
楓が真剣な顔して聞いてきた。
「いるわけないだろ〜男子校だぜ。ハハッ。」
「へぇー。そうなんだぁ。」
「星野さんは?彼氏いんの?」
ずばり聞き返した。
「私もいな〜い。」
「そうなんだ。可愛い顔してんのにな。」
「えっ?」
しまった!!つい言ってしまった。思わず楓に背を向ける。可愛いのは確かだけど、彼女の前で口にしてしまったことを後悔した。
ゆっくり振り返ってみると、やはり。。彼女はいつかのように顔を真っ赤にしていた。オレまで赤くなる。
「..あ..あっ、あの!」「ハイ!?」
「..も、もう帰るね。そろそろ迎え来るし...。」
「お、おぅ。気ぃつけて帰れよ。」
目を合わせられなかった。。
「お父さん...。」
車からの景色を見ながら楓は言った。
「ん?なんだい?」
「...私、好きになっちゃいけない人好きになっちゃった。」
「...不破君のことか?」「うん。」
「いいかい楓。確かに不破君は親戚だし、お前のはとこだよ?でも、楓が好きになったなら、そんなの関係ないじゃないか。誰かを好きになるってのは大切な事だよ。」
「ありがとう、お父さん。私、ずっと悩んでたの。ホントにありがとぉ。。」楓の手の甲に一滴の涙が落ちた。
ザーッ
「ふーっ。」
オレは風呂に入ってゆっくり目を閉じた。
あんな気持ち初めて..。...どうしちゃったんだろう。『好きなのかな?星野さんのこと..。』何回も湯舟の中でそう思った。中学ん時も勉強一筋で、誰とも付き合わなかったし、人を好きになるなんてなかった。何だろな?この気持ち...。
次の休日、楓は鷹文の家には来なかった。
「どうしたんだろ。星野さん...。」
「はぁ〜。。」
深いため息をついた。
「あら、今日は楓ちゃん来てないのね。」
追い撃ちをかけるかのように母の声が耳に入ってきた。
「はぁ〜。。」
またため息...。
「...鈍ちん。」
母はそう言うと、そそくさと部屋を出て行った。「はぁ?なんだよソレ?」
「あっかんべー。教えてやんないよ。」
...意味不明だ。
「あ゛ー!もういい!風呂入って寝よ!!」
シャワーだけで済まし、髪も渇ききらぬままベッドに入った。
「あ〜あ。つまんない。」
...星野さん。あの笑顔が見たい。あの元気な声が聞きたい。..会いたい。。
『オレ、星野さんのこと..好きだ...。』