想-white&black-B-3
「お前が言うことを聞こうが聞かなかろうが結果は同じだろう? なら俺の好きなようにやらせてもらう」
「や、やめて……。あなたの言うことは聞きますから……。こんなことはやめてください」
恐怖に震える声。
零れそうな涙を堪えるもののそう保ちそうにもない。
「分かっているのか? 言ってることが矛盾してるぞ」
「こんなのは嫌です……。私、私初めてなんです。だから……お願いですから」
男の力がこんなに強いとは思わなかった。
ましてや楓さんは細身で見た目力があるようには見えないのだ。
抵抗しようにも突然のことにすっかり萎縮してしまっているのか、思うように身体に入らない。
「初めて? じゃあこの身体は誰にも触れさせたことはないと」
羞恥心を煽るような言われ方にかっと頬が熱くなるのを感じる。
「なら尚更俺の手で手折ってみたいものだな」
「やっ、やめっ。きゃああっ」
ぐっとバスローブの前を全て開かれると、下着姿が露わになる。
それを舐めるように見つめてくる視線に耐えられず顔をできるだけ背けた。
だが肌を刺す視線はまるで実際に触れているように感じてしまい逃れられない。
「お前はなかなか肌が綺麗だな。触り心地も悪くなさそうだ」
そう言うと、片手の指が鎖骨に触れてきた。
たったそれだけのことに身体がびくりと揺れてしまう。
そのまま首の頸動脈あたりを滑り、顔の輪郭をなぞるといきなり顎をぐっと掴まれ固定された。
背けようとしてもがっちり掴まれていて痛みが増すだけだ。
そしてその隙にふっと楓さんの顔がより近くに感じたと思った瞬間、唇が唇で塞がれていた。
「んんーっ、んっ……う……」
重なり合っていただけの唇は、何度も角度を変えたかと思うと次第に深くなっていく。
彼の舌が唇を滑るとそのまま口腔内に歯列を割って入り込んできた。
やがてお互いの舌が触れるとそれを逃さないといったように絡み付いてくる。
時々ぴちゃっという唾液が混ざり合う濡れた音に背筋が震えた。