想いの行方V-8
「英士!…お前に心はやらねーから!!」
顔だけこちらに向ける英士は、いつもと変わらない余裕のある笑みを見せた。
「…そうして」
ひらひらと片手を上げながら、英士はドアの向こうの階段を降りて行った。
屋上で一人俺は、再び煙草を取り出した。
英士からもらったライターで火をつける。
そのライターを眺めながら、俺は口元をニッとつりあげた。
さすが親友。
勝たせてくれないけど、負けさせてもくれない。
この先、どんな奴にも負ける気がしない。
俺には勝利の女神と親友と………一番のライバルがついてるんだから。
END