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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? プロローグ「覗いてみタイッ!?」-7

**――**

 貧弱というイメージが強い男子だが、自慰を覗き見したときの半身を見ればそれも偽りだとわかる。また、逃げる二人を抱え上げ、部室へと連れ込んだことから、獣のフシもあるわけで、隆々と勃起するそれから滴る淫液は獲物を前にして舌なめずりをしている風にも見えた。
「えっと、皆、とりあえず前、しまったら? 風邪ひいちゃうよ」
 この期に及んでまだ平和な口調の愛理には、どこか感心してしまう。
「どうせこいつらバカだから風邪なんかひきませんよ」
 強がる里美の声も、どこか弱々しさが見られる。
「あのさあ、先生、なんで俺らのオナニー覗いたの?」
 男子のリーダー格である田辺悟が愛理の顎を持ち上げて言う。さながらドラマや映画の悪役の仕草だが、どことなくぎこちない。おそらく真似をしているのだろう。
「それは、だって、皆が放課後に良くないことをしてるって聞いたから……」
 それでも愛理を怖がらせるには充分だったらしく、彼女は里美のほうをちらちら見ながら、請うような表情をする。
「ふーん、なるほどね。香山がチクったわけか……」
 ニキビの目立つ髪の生え際を掻きながら、イヤラシイ哂いを浮かべる悟。がまがえるを連想させる平べったい目と口、輪郭には生理的嫌悪感を抱かせるのに充分な威力がある。
「なあ、どうすんだ? サトチン」
「ん? あ、ああそうだな。俺らも恥ずかしいとこ見られたわけだし、ここは一つ、先生たちにも恥ずかしいところを見せてもらおうか?」
「な、何を言ってるのよ! あんた達が勝手にオナニーしてたんでしょ! ふざけないでよ!」
 理不尽な提案に不快感を一層強めた里美は、唾を飛ばしながら叫ぶ。
「ふんだ。あんた達のこと体育の新井に言ってやるんだから。そうだ、教頭先生にも言おうかな。そしたらただじゃ済まないかもね。最悪退学かもよ?」
 唯一の切り札である告げ口もどこまで効果があるというのだろうか? そもそも行使するのにもこの場所を脱する必要がある切り札では、順序が一手遅い。そして当然それは悟も知ることであり、その証拠に眉一つ動かすことなく、ただ喚かせるだけにしている。
「いまから言い訳でも考えてたら? ほら、先生、行きましょ!」
 捲し立ててその勢いで逃げだす里美の算段は安易だが、今時間帯、都合よく人が通るとも思えない。彼女は愛理の手を取ると、そそくさと出口を目指す。
 しかし、当然ながら入り口に立つ真吾と和彦が立ちはだかった。
「どいてよ。この包茎野郎!」
 体格の良い真吾に噛み付くことも出来ず、まだ下に見ることのできる和彦を押しのけようとする里美だが、
「あら、そんなこといっちゃ可哀想よ」
 意外なところから擁護の声が出る。
「佐伯君は少しだけ成長がゆっくりなのよね。すぐに大きくなるし、オチンチンの皮だって剥けると思うよ」
「……そうですか?」
「うん」
 この状況下にあってまだ和彦に興味があるのか、愛理は彼の逸物と表情を見て、にっこりと笑っている。
「先生、佐伯はさ、先生のこと好きなんだよ。だからさ、色々教えてやりなよ」
 下卑た声が後から飛んでくると、童顔の和彦は真っ赤になりながら俯いてしまう。
 短距離走を選択している和彦は、中学の頃に県大会で記録を出したほど。ただ、桜蘭高校に通うようになってからは、指導力の無い顧問の下では記録を伸ばせずにいた。
 それでも彼は明らかな素人である愛理に対し、何度もフォームの確認を頼んだり、ミーティングでは必ず前の席に座り、積極的に関わろうとしていた。
 彼が愛理を好きなのは、部員なら誰でも知っている事実。
 知らないとすれば、おそらく……。


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