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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? プロローグ「覗いてみタイッ!?」-13

**――**

 苦し紛れの策で凌いだものの、倉庫内にはまだ里美がいる。
 声をかけるべきだろうか? だが、なんて?
 薄暗い、埃臭い倉庫に押し込められ、自慰行為の強要、そして陰茎を見せ付けられて、口淫をせがまれる。強姦に近い行為は、きっと少女の神経をすり減らしたに違いない。
 女子の心理に人一倍疎い紀夫にしてみても心細いのが分かる。だが、自分が顔を出してよいものなのだろうか。
 紀夫も男。彼女を追い詰めていたモノ達と同じ男。いくら窮地を救ったとはいえ、怯えられるのではないだろうか? ここは一つ、同性に来てもらうべきだろう。幸い、グラウンドにはピンクのジャージ姿が一人見える。
 ――よし、先生を呼んでこよう……。
「あ、あのさ、香山さん。今平山先生を呼んでくるからさ、ちょっと待っていて……」
「……いい、つか、平山さんなんか呼んでも頼りにならない……」
 里美の低い声が聞こえた。
 彼女ならではのガッツというべきか、思ったよりは元気がある。
「でも、こんなの、ほっておけないよ……」
「ちょっと来てよ……」
「え? あ、ウン……」
 唐突な提案に間抜けな返事を返すしかできない自分は里美と比べてまだまだ子供だと思う紀夫だった。

 狭い部屋、くらい部屋、埃の舞う部屋。女子と二人きり。しかも、相手はここで自慰行為をしていた。
 この異様なシチュエーションに紀夫は何も考えられずにいた。
 いや、多少の期待はしていた。
 お礼にと、里美がキスをしてくれる。
 女子の心理を知らない童貞らしい都合の良い妄想でしかないが、ゆだり始めた頭にはそんな状況が連続再生されている。
「ね、どこから見てた?」
 入ってきた紀夫に背を向け、ジャージを直す里美は、彼の淡い妄想を砕く声で聞き始める。
「え? どこって、天窓から……」
「そうじゃなくて、何時から?」
「あ、それは、あの、香山さんが咥えろって言われたときから」
「ホント? あたしが……その、してたとこ、見てない?」
「何を? 見てないよ」
 何をしていたかはもう知っている。だが、あえて言う必要も無い。というより、言う勇気が無い。
「ふーん、あんた何してたの?」
「なにって、掃除? ああ、そっか、田辺に押し付けられてたんだっけ」
「あそ……」
「香山さん、大丈夫?」
「大丈夫よ。もういいわ。出てって」
「だって、あんなことされて、一体何がどうしたの?」
「あんたには関係ないでしょ? つか、何覗いてんのよ。このヘンタイ」
 助けてもらった恩も忘れたらしく、彼女はきつい口調になりだす。
「そんな、だって、変な声が聞こえてきたから、だから、僕、それに香山さんだって危なかったじゃん。僕が通りかからなかったら今頃……」
「フンだ! あんな奴ら怖くないわ! つか、覗いてたのよね。あたしがされそうになるの、見てオナニーでもしてたんじゃない?」
「なんだよ! もういいよ! 勝手にしなよ!」
 真っ赤になって反論するのは、罵倒されたからではなく図星を突かれた為。事実、もし里美が悟のモノを咥えていたら、おそらく一挙手一投足見逃すまいと目を皿のようにしていただろう。そして……。
 だが、結果的には助けることになった。それならこのまま英雄気取りで倉庫を出るのも悪くない。快楽の伴わない満足感を片手に紀夫は立ち上がり、言われるままに外に出ることにする……も、
「待って、行かないで……」
「なんでさ? 用無いんでしょ? 僕まだ掃除が残っているから……」
 押し付けられた掃除などこの際忘れてもいい。それに、彼らには小さくとも何か罰が遭ったほうがいい。そう思っていた。


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