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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? プロローグ「覗いてみタイッ!?」-12

**――**

 部室を出た里美は無口だった。それは田辺や五十嵐も同じこと。
 結局愛理と和彦は繋がったまま、置いてきた。というか、声をかける気になれなかった。
 では何故声をかけられなかったのだろうか?
 理由は簡単だろう。

 怖かったからだ。

 初めて目にしたセックス。
 愛理と和彦は互いに愛し合い、ごく自然なそれであった。
 しかし、それはお互いだけのことであり、ギャラリーからしてみれば卑猥というよりも醜悪な行為でしかない。
 ダラダラと粘液を振り乱し、奇声を上げる二人。
 アダルトビデオのイメージを抱いていた男子のそれらは、射精もせずにげんなりと首を倒していた。
 五人は誰からとも無くため息をついていた……。

**――**

 好奇心に負けたのだろうか、それとも性欲か……?
 紀夫は倉庫の裏にあるバケツによじ登り、空調の隙間から中の様子を覗こうとしていた。
 聞きかじった程度の法律知識でも覗きが良くないことだということは知っている。
ただ、もし校内で性行為をしているのなら、それもまた条令に違反する。そんな解釈で自分の覗き行為を正当化しつつ、紀夫は換気扇の隙間から中を見る。
「えっと……わ、アレ、香山さんじゃないか……」
 倉庫の中央、椅子の座り片足を上げる彼女には見覚えがあった。
 同じ中学出身の香山里美。一度も同じクラスになったことは無いが、大会などで入賞を果たす彼女の名前は彼も知っていた。今は同じクラスだが彼は知っていても、彼女は知らないという程度の間柄。ただ、今の里美は三人の男子に囲まれた状況で、尚且つ三本の醜い棒を向けられているのだから。
 ――何してるの? 一体……。
 見覚えのある棒の先からは透明な汁が垂れ始め、ズンズンと鎌首を持ち上げている。
「やめてよ……、そんな汚い棒しまってよ……」
 普段勝気な彼女からは想像できないほど弱々しい声がした。
「いいじゃん、抜いてよ。俺、手でいいからさ……」
 妙に低い声には聞き覚えがある。というか、先ほど掃除を押し付けてきた田辺悟だ。
「約束が違うじゃない……、オナニーだけでいいって……」
「だってさ、里美のオナニー見てたら興奮してきてさ……だから……」
 ――オナニー? 香山さんがここでオナニーしてたの?
 もう数分早く辿りつけたら自分も相伴にあやかれたかもしれない。
 そんな不埒な妄想を抱きながらも、彼女に突き出される陰茎をみていれば、さらに行為を見ることができるかもと期待する自分がいる。
 ――ダメダメ、ダメだよ。そんなの、香山さん、嫌がってるし……。でも、どうやって止める? 僕じゃあいつらにかなわないし……。
「なあ、咥えるぐらい簡単だろ? 平山さんだって佐伯のおいしそうに咥えてたじゃん。里美だってできるっしょ」
「あれは好き同士じゃない……」
「なら俺のこと好きになれよ」
「ばっかじゃない! あんたみたいな奴、誰が! あんたのを咥えるぐらいならミミズを飲み込むほうがずっとましだわ」
 ミミズのようなものに噛み付かんばかりに叫ぶ彼女はいつもの様子だが、圧倒的に不利なこの状況は変えられない。
 ――香山さん、どうしよう……。
 それは窓枠を掴む彼も同じこと。ただ、その気持ちとは裏腹にズボンの中でいきり立つものは熱と硬さを蓄えつつある。ついでに好奇心が後押ししてからか、背伸びをしてしまい……。

 がらがらどっしゃーん!

 バケツと一緒に盛大に転倒してしまったわけだが……、
「用務員さーん、倉庫の鍵壊れてますよー! こっちです!」
 何を思ったか大声を張り上げる紀夫。
 すると倉庫の中では少年達がうろたえたらしく、どたばたと音がする。そして数秒後、見知った男子三名がずり落ちるズボンを押さえながら出て行く姿が見えた。
 ――ふぅ……、なんとかなった。
 影で様子をみつつ、ため息をつく紀夫だが、用務員が来る様子は一向にない。当然だろうハッタリなのだから。


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